国が猛毒のダイオキシン類を含む除草剤を国有林に埋めるなどしていた問題で、林野庁が全国に先駆けて、熊本県宇土市で撤去作業を始めました。

宇土市では高さ約6.5メートルのテントが設けられ、除草剤の撤去作業が本格化しています。

埋められていたのは、「2,4,5-T系」と呼ばれる除草剤です。

熊本森林管理署 廣田忠善 署長
「すべてテントの中で、飛散しないように対策をとっています」

安全管理上内部は見られませんが、除草剤は地中約1.5メートルに埋められていて、テントでは除草剤をドラム缶に移す作業が行われています。

作業開始前、この場所はうっそうとした森の中、フェンスで完全に覆われていました。

「2,4,5-T系」は、かつて全国の国有林などで使われていました。しかし猛毒のダイオキシン類を含み、発がん性などの健康被害が問題視されたことで、国内では53年前の1971年に使用禁止となり、各地の国有林に埋めるなど国が処分を進めました。

現在は埋められて半世紀が過ぎ、2020年7月豪雨では、熊本県芦北町の埋設地の近くで土砂が崩落するなど、住民の間で流出への不安の声が高まっています。

こうした声を受けて、林野庁が今年度から撤去に着手。このうち宇土市で、全国で初めて本格的な掘削と撤去を始めました。

廣田署長「埋設農薬(除草剤)を掘削して埋設物を確認した上で、ドラム缶で処理場まで運ぶ」

今回の作業は7月中旬にも終える予定で、林野庁は今年度、佐賀県と高知県でも撤去を進めます。