2020年7月の豪雨から復興が進む熊本県人吉(ひとよし)市で、老舗醤油蔵の醤油が3年9か月ぶりに復活しました。

職人が醤油の素となる熟成した「もろみ」を1つ1つ麻の袋に入れ、きれいに重ねていきます。

圧力をかけて醤油を搾り出す「圧搾(あっさく)」という工程です。
作業を見守るのは『釜田醸造所』の3代目、釜田顕(かまだ あきら)さん。

『マルカマ醤油』の名で知られる老舗の醤油蔵は、2020年7月の豪雨で1メートル近く浸水。機械は全滅し、当時 発酵熟成していた「もろみ」も被災しました。
釜田醸造所 釜田顕 社長「タンクもひっくり返って商品も濡れて使えない状態で、一瞬廃業も頭をよぎりました」
しかしその後、釜田さんと県の研究機関は、被災を免れたわずかな「もろみ」をタンクで発見。そこから酵母菌を採取することに成功しました。

酵母菌は「もろみ」の熟成や発酵を進める微生物で、醤油の味や香りの決め手となるものです。酵母菌の発見で釜田醸造所の味を守ることができました。
釜田さん「90年の歴史が途絶えずに、ここに生きている麹菌を繋ぐことができた」

クラウドファンディングで資金を集め設備を新しくし、去年(2023年)3月に醤油づくりを再開した釜田さん。ようやく、初しぼりの日を迎えました。
釜田さん「感無量ですね、この音は。ここにたどり着くまでの道のりはですね」
3年9か月、待ちに待ったマルカマ醤油の味です。
工場長「(香りをチェックして…)いいな」

釜田さん「色々な方に助けてもらいましたので、これからもお客様の期待に応えられるような製品作りをして頑張っていきたい」
創業93年マルカマ醤油。これからも人吉の地で醤油作りを続けます。










