◆人工物のため「安全管理」の責任が行政にあった

手を出せないはずの野生動物を助け出すことに問題はなかったのだろうか。弁護士の徳原聖雨氏は次のように話す。
弁護士法人・響 徳原聖雨 弁護士「落ちた場所が自然の公園の中ではなく人工物だということがポイント。人工物になると行政としては管理する責任が問われる。例えばウリ坊がそこにいることによって何か支障が生じる、安全管理の責任が問われかねないので、行政としてはできることをやった。鳥獣保護管理法の規定からすると、やっとのことで自治体として苦渋の策として助けることができたという判断だと思います」

◆自分が不幸な野生動物に遭遇したら?

転落したウリ坊は、行政が安全管理の面から助け出したものの、もし自分が同じような境遇の野生動物を見かけたらどうすればいいのだろうか。徳原弁護士によると、野生動物を手に持つと鳥獣保護管理法が禁止する「捕獲」にあたるおそれがある。徳原弁護士は「自分で何かしようとしない、菌やウイルスを持っている可能性もあるので行政に連絡することが最善策」と指摘する。

◆けがをした野生動物は“治療”してくれることもある

怪我をした動物はやや事情が異なる。治療して野生に帰すことを前提に動物園や動物病院が保護してくれることもある。福岡市動植物園によると、保護できるのは人や人工物が関係するビルにぶつかった鳥や草刈り機で傷つけたタヌキなどが対象だ。巣から落ちたひな鳥などは保護できないことになっている。福岡県はけがをしている野生動物を見つけたら、ケガや衰弱の具合をみてむやみに手を触れずそっとしておくように案内している。その上で、治療した方が良いと感じたら、保健福祉環境事務所に連絡するのが最善策のようだ。福岡県は、今後イノシシが水路に落ちない柵を設置することなどを検討し始めた。2024年はウリ坊が“はまらない”水路に生まれ変わっているかもしれない。