趣味部屋として借りた夫婦
話を聞いていると、篠原さんの店に突然、男性が入ってきた。ひとつ下の階を借りている鶴岡重昭さん(62)だ。
鶴岡重昭さん(62)
「さっき畑で収穫したじゃがいも持ってきたよ。新じゃがだよ」
篠原貴美子さん
「ありがとう」
鶴岡重昭さん
「実は団地の有志で、敷地内に畑を作ったんです。ハーブや葉物野菜も育てていて、水やりも当番制なんです。」
鶴岡さんは妻・倫子(みきこ)(62)さんと1部屋を借りている。
鶴岡重昭さん
「趣味部屋なんですよ。私はユーミン世代でLP版をたくさん持っていてレコードプレイヤーも新調したのですが、自宅ではなかなか聞く機会がないんです。もったいないな、と思っていたら、この団地の入居者募集が目にとまりました」
妻の倫子さん(62)は、夫以上に多くの趣味を持つ。編み物、洋裁といった手芸とイラスト描きや漫画が大好きで、部屋の半分以上を手芸の材料や漫画本が占めている。しかし夫同様、自宅では趣味の時間を楽しむことが出来なかった。
鶴岡倫子さん(62)
「手芸するにも一旦棚から出して、終わればまた片付けたり…という作業の繰り返しが面倒くさいなと思うようになりました。そうするとだんだん、材料を入れた棚を開けたくなくなっちゃうんですよね。棚に収納こそ出来るものの、開かずの扉のように、箱詰めのまんまで開くことなく過ごしていましたので、休眠状態の趣味のものを活かしたいなっていう気持ちがずっとあったんです。そしてこのたび、娘家族と一緒に住むことになりました。引っ越しを機に『この荷物どうする?入らんよ』っとなって。それでここを借りました。」
鶴岡さん夫妻は、DIYや家庭菜園の合間に休憩したくなったら、他の住人たちを誘ってお茶会を開いている。







