災害対策は「政権維持」にも直結する
統計によると、中国国内で今年1~5月の5か月間に起きた自然災害(主に洪水や地震など)によって、合わせて111人が死亡・行方不明になりました。そして、5月の1か月間だけで、直接的な経済損失は日本円で約4000億円に達しています。これからさらに警戒を要する季節に入ります。
従来のパターンを覆す異常気象が数多く発生し、国民の暮らしや経済に打撃を与えれば、中国の指導部も強力な対策に乗り出さなければなりません。
6月30日には、極めてハイレベルの指導者が集まる中国共産党の政治局会議が開催されました。トップの習近平主席も出席し会議を主宰しましたが、この会議の中心テーマがまさに「防災」でした。異常気象を前に、会議では次のような決定が下されました。
「各地域および関係部門は警戒を強め、最悪の事態を想定して備える姿勢を徹底しなければならない。大規模な洪水、深刻な干ばつ、強烈な台風への対応を整えるとともに、何よりも人々の生命の安全に努めなくてはならない」
自然災害は庶民の暮らしを脅かし、損ないます。その防災を怠ると、人々の怒りや不満が政権に向かうケースもあります。中国の災害対策は、国民を守ることであると同時に、指導者自らを守ることにもつながっているのです。
◎飯田和郎(いいだ・かずお)

1960年生まれ。毎日新聞社で記者生活をスタートし佐賀、福岡両県での勤務を経て外信部へ。北京に計2回7年間、台北に3年間、特派員として駐在した。RKB毎日放送移籍後は報道局長、解説委員長などを歴任した。2025年4月から福岡女子大学副理事長を務める。







