◆高い集客効果で「逆オファー」が相次ぐ

ほかの業者と同じように当初は、出店交渉を経て出店料を払って営業していた。戦略もとっぴなものはない。力を入れたのは「味」と「接客」それに「宣伝」だ。

宣伝はインスタグラムを活用。フォロワーが6000人を超えるようになってから口コミ効果が顕在化してきた。

人気を支えるのは、歯ごたえがしっかりした「もも」と、柔らかい「ハラミ」だ。仕入れ先と仕込みは野球部の“絆”で結ばれた2人ならではの「企業秘密」があるという。

常連客「子供たちがすごい美味しいと言って、また買ってきてと頼むんです。かめばかむほど味わい深くて、子供たちも大喜びなのでリピーターになりました」

客が客を呼ぶ好サイクルに入るまでそう時間はかからなかった。「冷めても柔らかい」と評判になり、リピーターを着実に増やしていった。そうこうしているうちに、スーパー側の見る目も変わった。明らかな集客効果が認めら、ぜひ店を出してくれと「逆オファー」が増えていったのだ。今では2人は道の駅やスーパーなどの40か所に店を出している。その多くで出店料はない。


◆採算度外視の100円弁当を打ち出す

米安さんたちの移動販売店「福鶏」は、土日限定で子供向けの弁当も販売している。もちろん採算は度外視だ。

佐藤さん「お小遣いを出して炭火焼き弁当を買いに来てくれたのがきっかけで、もっと気軽に買える商品を作りたいと100円弁当を考案しました。移動販売では出せない商品もあるので店舗を構えてみようかと、通販をやってみようかという構想はあります。県外にも出店したいですね」


米安さん「一番は接客です。また来たいと思ってもらえるお店にしていきたいです」

全国各地で発生している鳥インフルエンザの影響で、このところは仕入れが難しい状況も続いている。それでもうさぎ年の2023年、野球コンビは更なる飛躍を誓う。