森ビルのシンクタンク「森記念財団都市戦略研究所」が2日発表した「日本の都市特性評価」で、全国136都市のうち福岡市は3位、去年より2ランクアップしました。

交通や研究、文化などの項目のうち特にスコアを伸ばしたのは経済・ビジネス分野の「ビジネスの活力」です。

その「ビジネスの活力」を表すようなスポットが新たに誕生しました。

サウナ、ゴルフ・・・休養施設充実の新オフィスビル誕生

RKB 北村可奈 記者「仕事の合間に映像と音楽に合わせて運動できる施設も整っています」

福岡市天神に3日開業した「天神住友生命FJビジネスセンター」。

地上24階、地下2階のオフィスビルで、最大で20から30社近くのテナントが入居することが出来ます。

福岡市 高島宗一郎 市長「これからのオフィスビルというものは、単に会議室があるとか働きスペースがあるだけではなくて、こういう共用部分にどれだけ付加価値を持たせられるのか」

ビルの一番の特徴は「Reboot!」と呼ばれる休養に特化した共用スペースです。

ビルで働く人専用のエリアで、運動が出来るジムや、ゆっくりくつろぐことが出来る図書スペース、

さらに屋上にはサウナも。

RKB 北村可奈 記者「サウナで汗をかいたあと、テラスでととのうことができます。日の光と風が心地いいです」

さらに…

RKB 北村可奈 記者「このようにシミュレーションゴルフができる施設も完備されています」

狙いは生産性の向上

貸し出しフロアの約15%を占めているという、休養に特化したスペース。

なぜ、こうした場所を作ったのでしょうか?

福岡地所 開発事業二部 村山智紀さん「ワーカーの知的生産性を高めたり発想性を高めるという目的があるんですけれども、あとはコミュニケーションを活性化して生産性を向上させていただくということで、いろんな施設の機能を企画をいたしました」

ビルの運営会社によると、IT系や外資系企業など内定も含め、8割ほどの入居が決まっているということです。

春に開業したワンビルシェアオフィスは75社が利用

一方、天神ビッグバンの目玉として2025年4月に誕生した「ワン・フクオカビルディング」では、新規ビジネスの拠点として着々と人が集まり、活気づいていました。

7階に入居しているのが、アメリカに本拠地を置く、起業家のためのシェアオフィスなどを展開する「CIC FUKUOKA」です。

新規事業を目指す、スタートアップ企業や大学、さらには支援を行う金融機関など75社が施設を利用しています。

CIC FUKUOKA 清水邦彦さん「ここには、皆さんが一緒に成長できるようなコミュニティーがある。例えるなら、スポーツの強豪校のように同じ意思を持った人がたくさん集まってきて、例えばスポンサーがついたり、いいコーチや専門家がいて、いい設備が整っているという成長できる環境そのものを提供するそんな場所になる」

福岡市の魅力は”地の利”

単なる貸しオフィスではなく、起業家が成長するための交流の場となっているCIC。

利用者たちはなぜ、この福岡の地を選んだのでしょうか?

シェアオフィスの利用者「(天神ビッグバンで)全国の人との出会いもあるし、来るたびに新しい出会いがある」

シェアオフィスの利用者「圧倒的に空港が近いですし、国際空港でもあるので東京に行かずともそのまま海外にいける場所」

シェアオフィスの利用者「アジアの国々はどんどん伸びています。福岡はアジアとすごく距離が近くて、できれば我々としては福岡をアジアのハブにしてアジアの人たちと一緒に元気な日本をつくりたい」

新規事業を目指す利用者が口をそろえて話すのは、福岡市の「地の利」

アジアの玄関口としての福岡市を足がかりに、海外進出を目指す人も少なくありません。

CIC FUKUOKA 清水邦彦さん「東京や大阪と比べた時に、マーケットの規模の割に主要な施設が集中している。いろいろなビジネスをして行くにあたって簡単に重要な人と会いやすい。コンパクトシティみたいなところも1つ大きな点。県外の人たちがここで起業して知識や経験を得て、県内もしくは九州全域に広がっていくことが、今、ここで起きてくると面白い」

一方、今回のランキング3位という結果に、福岡市の高島市長は・・・

福岡市 高島宗一郎 市長「ご承知の通りビッグバンとかも進んできて、やっぱり税収が上がってくると、例えば2人目の保育料無償化とか、(子供)医療費が月額500円で済むとか、こういう都市の成長と生活の質の向上っていうのがうまく回り出してきたなっていうのは思うので。あとは環境っていうポイントでも、やっぱり今、街に緑とか花をいっぱい増やすってことを一生懸命頑張ってるので、こういうランキングも上がってくると、また非常に全体のランクにも大きく影響するんじゃないかなと思います」

Q、来年は?

福岡市 高島宗一郎 市長「1位を目指して頑張りたいと思います」

今後の課題は「環境」

ビジネスで活気づく福岡市ですが、分析から、課題も見えてきます。

高島市長のコメントにもあった「環境」です。全体で99位という結果になっています。

要素としては、温暖化対策や廃棄物に関する評価が低くなっています。

例えば再生可能エネルギーや、リサイクル率というところに1位を仕留めるカギがあるかもしれません。