◆軍刀を向けられて命令「藤中兵曹、突け」

処刑の現場(国立公文書館所蔵)

<藤中松雄の上申書>
トラックは本部と第一照空隊の中間の草原に止まり、前島中尉の命令で現場に行き、全員、榎本中尉の指揮下に入り行動しました。現場で三人目の飛行士が、榎本中尉に指揮されて作業員が柱に縛り終わると、榎本中尉は全員整列させ、「今から司令の命令により、下士官兵、突け」と命令し、軍刀で刺突の説明した後、私に藤中兵曹と名を呼び軍刀で私を指さして「突け」と命じられて、私は隣にいた兵隊から銃剣をかりて無意志で榎本中尉の命令に従いました。

◆命令は如何なる違反も許されず

銃剣

<藤中松雄の上申書>
当時、日本帝国海軍の軍紀は厳正で、私達下士官兵は、自由行動は絶対許されず、又命令には如何なる違反も許されず、命令には直ちに服従しなくてはなりませんでした。榎本中尉は二十数名の者にも同様に突かせた後、「止め」の命令をし、解散命令を下したので、私は兵舎に帰り、現場の出来事を今村隊長に報告しました。