入札に参加しなかった業者も

ただ、不安要素も。

今回、入札の参加条件を満たす集荷業者はJAなど大手の90社程度ですが、中には参加を見送った業者もあります。

福岡県広川町にある米集荷業者です。米の仕入れ量は年間およそ1万2000トン。契約倉庫にある米の在庫状況はすでに例年の6割ほどになっていると担当者は話します。

カネガエ米穀部 森島一紗 米穀部門長
「本当は(今の時期の在庫は)パンパンなんですけど、スカスカになってきていますのでどんどん在庫が減っていくのが不安。例年の5~6倍は発注が来ていますので、数量制限せずに希望の注文を精米したら2、3か月で終わってしまう。頭が痛いですね」

新たに米を確保するため、政府備蓄米の入札に参加しようとしましたが、見送ったといいます。

カネガエ米穀部 森島一紗 米穀部門長
「お米は欲しいけど、返さなくちゃいけないのが気になって。返すお米に自信がないのも正直なところで今回は入札に手を上げませんでした」

今回の入札では「販売計画」などの提出が義務付けられていて、落札した場合、原則1年以内に同品質・同量のコメを政府に売り戻すことが条件となっています。

宇都宮大学・農学部 小川真如 助教
「同等同量で返すというのが、その内容自体もまだまだ不透明な部分があります。何年産の米で返せばいいのか。今年の新米もコメの集荷競争になるのではないかとコメ関係者は予想しているところもありますのでなかなか返すコメを調達するプレッシャーがかかるのであれば、今回備蓄米の入札は控えておこうかという動きも起きるかもしれません」

3月下旬~4月に価格は落ち着くか

様々な不安要素を残す今回の入札。

価格の引き下げにつながるでしょうか。

宇都宮大学・農学部 小川真如 助教
「今回の備蓄米の放出によって流通の状況が改善されれば、3月末あるいは4月にはある程度価格の高騰が収まってくると予想しています」

「ブレンド米」として流通する可能性

今回、41銘柄が入札の対象となっています。

備蓄米が流通した場合、店頭には複数の銘柄が混ざった「ブレンド米」という形で並ぶことも予想されるということです。