鮮やかな色遣いで動物などを描くアーティスト石村嘉成さんを育てた母・有希子さんの実話をもとにした映画『新居浜ひかり物語 青いライオン』の上映が全国で広がっている。母親役で主演したのは、小林章子さん。民放のアナウンサーだ。2月4日、RKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』に出演し、神戸金史・RKB解説委員長のインタビューに答えた。

映画『青いライオン』全国で公開中

神戸金史解説委員長:映画『新居浜ひかり物語 青いライオン』の上映が1月31日、「TOHO シネマズ福津」(福岡県福津市)で始まりました。主人公は、先天性の脳の機能障害、自閉症を持つアーティスト石村嘉成さん(30歳)です。

石村嘉成さん

【石村嘉成(よしなり)】
1994年、愛媛県新居浜市で生まれる。2歳で自閉症と診断される。家族や周囲の支援を受け、自立に向けて厳しい療育に向き合う。新居浜商業高校に入学、選択の授業で油絵や版画を始める。2013年自宅アトリエで作品制作を開始、鮮やかな色彩感覚で多くの人を魅了、国内外で多くの賞を受賞している。


神戸:映画は、RSK山陽放送(本社・岡山市)が撮影したドキュメンタリー部分と、幼い嘉成さんを懸命に育てた母、有希子さんを描く再現ドラマが入り混じる構成になっています。

監督・脚本:三好聡浩・平松咲季
撮影・照明:花坂匡浩
プロデューサー:物部一宏
音楽:NAOTO
原案:原憲一
企画:川井祐介
テーマ曲:「aqua celeste」
演奏:Sugar and Spice
作曲:NAOTO

主演したのは民放アナウンサー

神戸:母親の石村有希子さん(当時40歳)は、嘉成さんが11歳になった2005年に、病気で亡くなってしまいました。有希子さん役を演じたのはRSKのアナウンサー、小林章子さんです。

母親役を演じた小林章子アナウンサー

【小林章子】
アナウンス部、報道部、ラジオ制作部などを経て、現在は報道部でニュースサイト「TBS NEWS DIG」のデスク業務や、ラジオ番組「永瀬清子の世界」の朗読などを担当。一男一女の母。


神戸:RSK山陽放送の創立70周年記念の映画なのですね。嘉成さんご本人が描く絵が、本当に素晴らしいですね。

RSK 小林章子アナウンサー:動物の絵が多いんですが、目が非常に生き生きとしていて、その動物の気持ちが伝わってくるような表情をしています。何といっても、色が鮮やかですよね。

ブルーライオン=©石村嘉成

神戸:どうしてこんなに美しい色彩を描けるんだろう、と思うほどです。特にあの「青いライオン」。こんな絵を描くアーティストがいるんだ、とびっくりしました。

小林:嘉成さんは、お母さんとの間で「ライオンみたいに優しくて強い人になってね」という約束がありました。お母さんとの山歩きの思い出で印象に残っている青い空、それから舞台の愛媛県新居浜市の瀬戸内海の青さ。「優しい青と強い青で、ライオンを表現した」と教えてくれました。

神戸:嘉成さんの声を聴いてみましょう。

絵筆を取る石村嘉成さん

石村嘉成さん:母は、まだ言葉がうまく出なかった私を連れて、山歩きをしました。山の頂上まで登ると、母はとてもうれしそうに、「ヤッホー!」と言いました。私も「ヤッホー!」と母の真似をしました。母は「嘉くん、強い子になってね。優しい子になってね」と、青空の向こうから私に言います。私は「お母さん、ライオンみたいに優しくて強い人になるよ」と約束します。何かに困って泣きそうな時も、自信がなくてうまくいかず、ドギマギしてびっくりしていた時も、青空のライオンを思い出して頑張ろうと思います。だから今回は、母との約束の「青いライオン」を絵にしました。