大分県日田市にある山間部の地区で、去年から住民が生活用水に使う井戸の水位低下が続き、水が出にくい状態となっています。原因は県が建設を進めているトンネル工事でした。
日田市伏木町では上水道が通っていないため、井戸水が生活用水として使われていますが、去年の春過ぎから水位が日に日に下がっているといいます。水位低下は64世帯が利用する35か所の井戸で、水が出にくい状態となっているほか、濁りも見られるということです。
(住民)「前はもっと勢いが激しかったジャーッと。そりゃ困るよ、水がないとどうしようもこうしようも生きていけない」

水位低下の原因は、およそ2キロ離れた場所で行われているトンネル工事。去年4月、県が建設を進める中津日田道路の緊急用避難トンネルの掘削工事で毎分8トンもの地下水が湧き出るようになったのです。

県はただちに工事を中断し、住民への応急処置として井戸を掘り下げる工事や給水車の手配などで対応しています。ただ、地下水の流出を食い止めるのは別の場所に影響を及ぼすおそれもあって、現実的には難しいといいます。
住民らは協議会を設立し、県に代替井戸の設置やトンネル工事の掘削工法の見直しなど、抜本的な対策を求めています。
(住民)「この地区の住民の将来をどう考えていってもらえるのか。元に戻してくださいと、それだけです」
住民の声を受けて県は今後も「地元とよく話し合って不安を払拭しながら理解を得ていきたい」としています。