3年にわたって長崎地裁で争われてきた『性暴力』を巡る裁判。
”職権を乱用した加害行為”と認められました。

原告は2007年当時、長崎市で報道記者として働いていた女性です。
取材相手だった長崎市の原爆被爆対策部の男性部長から『性暴力』を受けたと訴えました。
部長は長崎市の聞き取り調査が始まった直後に自殺。
女性は市の別の幹部職員から「2人は男女関係にあった」など虚偽の話を流されて『二次被害』を受けたと訴え、市に対し損害賠償と謝罪を求めていました。

30日の判決言い渡しで長崎地裁は、長崎市に対しおよそ2千万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
判決言い渡しを終え、女性記者本人が、会見を開きました。

原告(本人)「長崎地裁で勝訴できたことにほっとしております。努力した15年間が報われたこと、事件の責任が長崎市側にあると司法に判断して頂けたことに喜んでいます」
平和祈念式典に向けて取材していた女性記者。
2007年7月、原爆被爆対策部の男性部長から『性暴力』を受けたとして、3年前に訴えを起こしました。
別の市職員に「男女の関係だった」などと虚偽の情報を流されたことによる『二次被害』も訴え、市に対し『およそ7400万円の損害賠償と謝罪文の掲載』を求めていました。


30日の判決言い渡しで長崎地裁の天川 博義 裁判長は、部長の性暴力を認定した上で「式典を取り仕切る立場にあった部長が、取材に協力するかのような態度を示して行為に及んだ」として『職権を乱用した行為』と認定しました。

また長崎市には「事件の情報を拡散しないよう注意する義務があった」として、市職員が虚偽の情報を広めたことについて『二次被害防止 義務違反』があったとし、市に対し1975万円余りの損害賠償の支払いを命じました。
一方、『職員の情報拡散だけで女性記者への名誉棄損は成立しない』とし、”謝罪文掲載の請求”を却下しました。

原告代理人 中野 麻美 弁護士「公権力の乱用として女性記者にふるった暴力を糾弾したのは、私共が今まで知っている裁判例からして初めてだと思います」
原告本人「事件から15年をどんな風に表現していいか分からないですけど、特に長崎市長に申し上げたい。事件をこういった事を2度と起こさないように行政組織として今一度原点に帰って、その上できちんとした皆様に恥ずかしくないような平和行政を行っていって頂きたい」
今回の判決に対し、長崎市は「判決文を十分に精査し対応を検討する」としています。