来年度に予定されている原爆資料館の展示更新について長崎市は新たに「核兵器の脅威」や「放射線による被害」に関する展示項目の素案を示しました。これは先月30日に開かれた長崎原爆資料館運営委員会の小委員会で市側が示したものです。

■核がテロリストなどの手に渡ることを危惧

素案の中で、市側は「核兵器の脅威」の解説パネルの原稿案では冷戦終結後の新たな核拡散に伴い、核兵器関連物質や開発技術の流出という問題が表面化したこと。核物質が流出し、国家だけでなくテロリストなどの手にも渡ることが危惧されていること。宇宙空間やサイバー空間などの新領域や人工知能(AI)をはじめとする新興技術の急速な発展が核兵器システムのあり方にも影響を及ぼし、情報の伝達ミスや偶発的な事故による核兵器使用のリスクを高める要因となっていること。ロシアによるウクライナ侵攻で「核の脅し」を繰り返し、核兵器は二度と使われてはいけないという「核のタブー」を揺さぶっていること。日本被団協が2024年にノーベル平和賞を受賞したことなどを記しています。

■放射線による被害 被爆医師の証言も

また、「放射線による被害」の解説パネルの原稿案では被爆医師朝長万左男さんの証言を紹介。白血病になった高齢の患者が「原爆は自分の体の中に生き続けていたんですね」と語ったことなどを記しています。

また、放射線による人体影響の生涯持続性については被爆により血液の元となる造血幹細胞が傷つき、長い期間にわたって白血病を誘発している可能性があると考えられているとしています。

長崎市では今後、運営審議会や市議会での議論を踏まえて、今年度中に実施設計を策定することにしています。