伝統文化の選択と継続

300年の歴史を持つ「からこ磐持大会」は下唐川地区の一大イベントです。高齢化に加え、震災による人口減少が加速する中で、この伝統行事をどう続けていくか、住民たちは話し合いを続けてきました。

「こういう祭りをやりながら人が集まるということも、やっぱりその地域が一つになっていく一つの道筋として大切なことだ」という声がある一方で、「もう私らは高齢化をして、この行事をずっと維持していくことは不可能になったんで、震災を機会にやめさせてください。必要な数の祭りにして、年のいった人間でもやれるような形に残せ」という意見もありました。

加代さんは「こうした意見を踏まえて『下唐川に戻ってきて良かったな』って思えるような、そんな祭りや復興をやっていきたい」と語ります。

復興への道のり「開かれた村に」
震災から1年半が経つ頃、下唐川地区でも住宅の再建が進んでいました。加代さんも自宅跡地に新たな平屋建ての家が完成。ゴールデンウィークには長女や長男の家族が帰省し、引っ越しの手伝いをするなど、地震の時に家にいた家族が揃いました。

「逆に震災があってからの方が連絡をよくするようになったよね」と家族の絆も深まったようです。

地域の交流を求める声に応えたのが、能登各地でボランティアを続ける俳優の常盤貴子さんでした。「多くの人に下唐川を訪れてもらって、この下唐川の素晴らしい自然を皆さんに体験していただき、元気になってもらえたらなと思います。ここをみんなの手で守っていきましょう」と呼びかけます。

公費解体された住宅の跡地に作られた地域住民の憩いの場「風と光のふるさとGarden Karaco」が作られました。市民や企業などが花を植え育てることで、人と人との繋がりを深め、地域の魅力を高める「一人一花運動」の一環です。