■付録で競争倍率48倍!大人気イベントとは

「クイズに正解した人に、ためておいた付録を詰め合わせてプレゼントしています」。

そう話すのは、鹿児島県の東側、大隅半島にある鹿屋市立図書館です。夏休みと冬休み期間中に、館内で出題されるクイズの答えと、希望のプレゼント番号を書いて応募すると、抽選で付録の詰め合わせが当たるイベントを行っています。

クイズの答えと欲しい付録を書いて応募。今夏1番人気は、「かいけつゾロリ」などのグッズ詰め合わせ(鹿屋市立図書館Facebookより)

「防災」をテーマに7問を出題した今夏の競争倍率は、なんと48倍。当選者10人に対し、479人から応募がありました。

利用者カードを持っている人が対象で、樫田博史館長は「イベントがより多くの人が図書館を利用するきっかけになれば」と話します。

■年始めの「運試しおみくじ」にも 本を借りた人の特典

湧水町くりの図書館では、年始めの開館日に「運試しおみくじ」を企画。当日に本を借りた人は、付録が当たるくじを1回引けます。

くじには「大吉」「中吉」「小吉」「末吉」があり、「大吉」は布製のトートバッグや万年筆、「中吉」は簡易な手提げ袋や小さめのポーチ、「小吉」は小さめの文具などが入っていて「はずれ」なし。

本を借りた人が1回引ける「運試しおみくじ」とその景品(湧水町くりの図書館提供)

用意した約40人分のプレゼントは、その日の午前中になくなるほど好評といいます。

このほか「おはなし会」に参加してスタンプを集めた子どもにも、子ども向け雑誌の付録をプレゼント。

担当者は「雑誌は税金で購入しているので、付録を図書館が持っていてもどうしようもないし、職員が持って帰る訳にもいかない。普段利用してくれる人に『ありがとう』の気持ちを込めて還元しています」と話します。

■「付録人気」全国各地でも…貸出数もアップ

筑後市立図書館(福岡県)では、付録のプレゼントを2013年からスタートしましたが、ブランド物の手提げ袋などは、競争倍率200倍を超える応募があることもあるそうです。

「利用者が減る冬に、少しでも利用者数アップにつながれば」と始めましたが、貸し出し数の増加にもつながったといいます。

一ノ瀬留美館長は「ほとんどの雑誌を税金で購入しているので、付録も税金を納めている市民に公平に還元すべき。地域に根付き、市民の役に立たなければ図書館も生き残れません」と話します。

長崎市立図書館は2022年1月、ためておいた付録を「子ども」「男性誌」「女性誌」の3つに分け、4冊以上借りた人が好みのジャンルのくじを引くイベントを実施。館内には行列ができ、1日で343人が参加してにぎわったといいます。

このほか、付録目当ての来館を防ぐため、開催日時をあえて告知せず、付録の無料配布を行っている図書館もありました。

■付録は人を呼ぶ?

時に雑誌本体よりも魅力的に映る付録。その公立図書館での行く末を調べてみると、公平性を保つため廃棄されたり返還されたりするケースもありました。一方で、抽選会やイベントで活用するなど、図書館が市民の身近な存在になり利用者増につながる「可能性」も見えてきました。

ここまで来たら、全都道府県立図書館の付録の取り扱いはどうなっているのか?調べてみました。

みなさんの地域の図書館はいかがでしょうか?