クスノキが原料の「樟脳」を日置市で製造する取り組みが始まりました。地域活性化や資源の有効活用が期待されます。

日置市東市来町美山に「樟脳」の製造所が建設されることになりました。「樟脳」とは、クスノキの根や葉から蒸留・精製される結晶で、防虫剤や香料として使われてきました。

(記者)「こちらが樟脳。さわやかな香りハッカのようにスーッとする」

原料のクスノキは利用価値が少なくその多くが処分されているため、有効活用しようと考えたのが、薩摩焼の陶芸家十五代・沈壽官さんです。

(十五代 沈壽官さん)「社会的・歴史的に意義のあることで地域に貢献できないかと考えたときに『樟脳』が頭にあった。日置・鹿児島の新しい特産品をつくりたい」

樟脳はおよそ430年前、朝鮮出兵の際に日本に連れてこられた陶工によって伝承され、日本では鹿児島・美山で初めて作られたと言われています。

かつては日本の重要な輸出品の1つでしたが、後継者不足などから美山でも製造の歴史は途切れ、国内で製造しているのは現在、4か所のみ。樟脳を日置市の新たな特産品として復活させようと取り組んでいます。

(十五代 沈壽官さん)「美山の子どもたちにも勇気を与えるのではないか、小さな場所に日本で最初の産業があったと知ってもらうだけでも」

製造所では樟脳パウダーやスプレーなどをつくる予定で、今年10月末の本格稼働を目指し、建設が始まるということです。