離島で夜間に救急患者が出た場合、十管本部のヘリなどが対応していますが、離着陸場の照明整備が十分でなく、着陸をあきらめるケースもありました。
島ごとに現在整備が進められていて、このほど、訓練がありました。

(記者)「硫黄島上空。ヘリコプターが着陸するための緑とオレンジの光が上空からもはっきりと見ることができる」

三島村と第十管区海上保安本部が先月、硫黄島で行った訓練。夜間に救急患者がでたという想定です。島民が、離着陸場に照明を設置し十管のヘリコプターが、上空から照明の見え方を確認し着陸できることを確かめました。

黒島、硫黄島、竹島からなる三島村。硫黄島には現在70世帯127人が暮らしています。島の診療所には看護師が2人いますが医師は常駐していません。重篤な患者の治療ができないため、夜間に救急患者がでた際はヘリコプターが出動することになっています。

県内にある28全ての離島で重篤な救急患者が出た場合、昼間は県や民間のヘリ4機が対応します。ただ、夜間や悪天候は飛べないため、自衛隊や十管のヘリが向かいます。

県内で昨年度、自衛隊や十管が夜間などに出動したのは85回、そのうち硫黄島は2回でした。

ただ、島ではこれまで照明が整備されておらず、車のライトで離着陸場を照らすなどしてヘリコプターを誘導していました。安全が確保できず着陸を断念することもあったということです。

これを受け村は去年、県の補助を活用しヘリコプターの離着陸用の照明を整備しました。照明が整備されたことに島の人は…

(島民)
「突然夜中に(子どもが)『お腹が痛い』と言ったことがあって、緊急の事態だったらヘリを呼ぶことになっていたかもしれないので、夜中に発着できる体制ができたのはありがたいし島民として安心感がある」

「島民は年配の人もすごく多いので、夜中にけがをしたり急病になったときに医療が一番不安だったので、夜間でもヘリが来るのは安心だと思う」

三島村では硫黄島のほか竹島、黒島でも照明設備を改修。7つの有人島がある十島村でも、いままで十分な照明がなかった中之島や口之島など5つの島で整備や改修が進められています。

来年度、喜界島、沖永良部島、与論島でも整備される予定で、県内すべての有人離島で整備が完了します。

(第十管本部 山田貴弘救難課長)「十分な光量の夜間照明が設置され、安全に発着できることになり機長も喜んでいる。1人でも多くの命が助けられることに繋がればと思う」

(県危機管理防災局消防保安課 奥山政彦主幹)「少しでも安全に搬送してもらよう環境整備をしていきたいと思うので、島民の協力ももらいながら県としても取り組んでいきたい」

整備された照明は、急患に対応する自衛隊ヘリコプターの離着陸にも活用されます。