特に注意が必要なのが、湯舟に入ったときなどの急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、心筋梗塞や脳梗塞などを起こすヒートショックです。

鹿児島大学大学院・法医学分野が、MBCウェザーセンターと連携して発表している入浴時警戒情報です。

9日は今シーズン初めて、鹿児島市、伊佐市大口、枕崎市、鹿屋市、西之表市で、3段階評価の中で最もリスクが高い「危険」となっています。

入浴死について研究している鹿児島大学大学院医歯学総合研究科・法医学分野の林敬人教授です。

(林教授)「ヒートショックはすぐに意識を失い、自覚症状がないほうが多い。早ければ入浴して5分で発生する」

法医学が専門の林教授は、県警などから依頼を受けて遺体を解剖しています。
林教授らがデータを分析したところ、入浴中やその前後に亡くなったいわゆる入浴死は、鹿児島県内だけでも17年間で3252人で、交通事故による死者のおよそ2倍以上に上ることが分かりました。

9割が65歳以上の高齢者で、冬場の気温が低い日や一日の寒暖差が大きい日にリスクが高いことも分かりました。暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室へ移動する際、急激な温度変化による血圧の変化が不整脈などにつながり、心筋梗塞や脳梗塞を起こすことなどが要因とみられます。

法医学が専門の鹿児島大学大学院・林敬人教授によると、ヒートショックを防ぐポイントは、入浴時の温度差をいかに減らすかです。

(1)まずは脱衣所や浴室を暖めること。浴槽のお湯をシャワーでためると湯気がこもって浴室を暖められます。脱衣所など寒いところにヒーターを置いて、部屋を温めることが大切です。タオルなどがヒーターにかかると火災のおそれがありますので、ヒーターの近くに燃えるものを置かないよう注意してください。

(2)お湯の温度は38~40度にし、かけ湯をしてから湯舟に入ること。その際、水位は半身浴程度にします。

(3)湯舟から10分以内に上がること。長時間入浴しないことも大切です。

(4)食後や、気温が下がる深夜・早朝の入浴も避けましょう。異常があった時に早く気付けるよう、入浴前に家族に声をかけることなどが大切です。

(林教授)「入浴時警戒情報で「警戒」や「危険」が出ている時は、入らない選択肢があっていい。入るのであれば、予防対策をして安全を確保することが大事」

鹿児島県内の入浴時警戒情報は2月末まで毎日発表され、MBCのテレビやラジオ、ホームページで確認できます。