
夏休みも31日まで、自由研究に頭を悩ませた子も多いのではないでしょうか?今回は、鹿児島県薩摩川内市の小学1年生の男の子がこの夏、取り組んだユニークな自由研究を紹介します。
お母さんに怒られてばかりという子がその理由を調べた「ぼくがおこられる理由」です。

薩摩川内市の高来(たかき)小学校1年生、宍野紡季(ししの・つむぎ)くんです。初めてのカメラにちょっと緊張した様子。取材を始めようとすると…

(お母さん)「足!!」
(先生)「怒られた(笑)」
早速、お母さんに怒られてしまった紡季くん。カメラも怖かったようで、お母さんに連れられていったん休憩となりました。

全校児童104人の高来小では、学力検査などから算数への苦手意識が課題となっていました。

そこで去年から、身の回りのテーマを数字やグラフを使って表現する県の統計グラフコンクールへの参加を始め、夏休みの自由研究として参加を呼びかけるようになったのです。今年もアイディアに富んだ作品が集まりました。


(算数担当 上田幸昭先生)
「算数って難しいとか、計算早くないといけないというイメージが強かった。でも算数ってもっと日常的なもので、身の回りのものから算数のおもしろさを感じてもらいたかった」
ようやく元気になった紡季くん。先生たちに見守られながら、取材再開です。

紡季くんがこの夏取り組んだ自由研究のタイトルは「ぼくがおこられるりゆう」。
いつも1日中お母さんに怒られているそうで、研究では『宿題しなさい』『早く起きなさい』など怒られた理由別に、1日に何回怒られたかを表にしました。



テーマは母・恵子さんのアイディアでした。
「紡季の中で1番数を数えられるものって何かなと考えたら、これしか思い浮かばなかった」
ちょっと不服そうな紡季くん。描かれたイラストには本音が表れています。
“なぜぼくがおこられないといけないの”

(紡季くん)「遊んでた時に、急にこらって言われたから。何のこと?って」

回数を数えた8月10日は、1日で39回怒られていました。
『ご飯食べなさい』が5回、『けんかをしないで』が7回。1番多かったのは『テレビを消しなさい』の8回でした。

(母・恵子さん)「今もずっと言ってますね」
(紡季くん)「ねえ、なんでだろうね〜」
(母・恵子さん)「リモコンが壊れてるとか、いつも言ってるよね。消しなさい!って言っても違う、消えないんだって!とか言って」
(紡季くん)「見たいところがあるときはね」

そんな紡季くん、研究を通して気付いたことがあります。それは「たくさんおこられている」ということ。そして「これからの目標」は…
(紡季くん)「いつ怒られるか分からないから、気を付けながら過ごす」

Q.怒られるようなことをしないってこと?
(母・恵子さん)「見つからないようにするってことだよね?」
(紡季くん)「うん」
Q.見つからないように気を付けるってこと?
(紡季くん)「うん!」

お母さんの期待とは裏腹な結論にたどり着いた紡季くん。家で一緒に作り上げる中でのこの言葉はショックだったものの、紡季くんの本心を尊重したと言います。




(母・恵子さん)
「『これからは怒られないように気を付けながら行動する』とかを期待してたので、この結論を言われたときはすごいショックだった。
でも私の言葉できれいに終わらせるのも良かったが、紡季の本当の思いが書いてある方が良いかなと思って」

普段は人を笑わせることが大好きな紡季くん。小学3年生のお姉ちゃんと2歳の弟がいて、おととしからドラムも習い始めたという活発な男の子です。

(母・恵子さん)
「(保育園のときに)『友達をたたくんだったら、ドラム叩きなさい!』って言って始めた。(Q.怒られたことが、きっかけ?)そうです。
育児って難しいなって思うけど、悪いことも、いいことにつなげられたらいいなと思う」

紡季くんのユニークな自由研究は、恵子さんの姉がSNSに投稿して話題になり、新聞記事になったほか、ラジオ番組への生出演も果たしました。
紡季くんは、そんな自由研究のきっかけをくれた上田先生にお礼の手紙を渡していました。

(紡季くん)(恥ずかしそうに)「ただ書いただけ」

照れ屋さんだけど、心優しいという紡季くん。お母さんに怒られながら取り組んだ自由研究で、特別な夏休みになったようです。

