鹿児島市出身の稲盛和夫さんは、ふるさとへの思いも深く、県内に建設した京セラの工場を次々に増設し、人材育成にも力を入れるなど、鹿児島県の発展に貢献しました。

稲盛和夫さんは1932年に鹿児島市に生まれ、現在の鹿児島玉龍高校を経て、鹿児島大学工学部を卒業しました。ふるさと鹿児島への思いは、生涯を通じて深いものがありました。

(稲盛さん 2014年のインタビューより)
「ふるさとというのは、本当にいいものだと思いますね。鹿児島市からみた錦江湾をへだてて見た景色は、世界の中で絶景だと思う。私は『この景色だけは世界中どこにも負けん』という気がしていて、世界に行っても自慢している」

1959年に京セラを創業した稲盛さんは、それから10年後の1969年に薩摩川内市に鹿児島工場を建設。1972年には霧島市に国分工場を建設しました。その後、増設を繰り返しながら鹿児島の産業の発展に大きく貢献しています。

京セラによりますと、県内の工場などの従業員は現在1万1000人余りに上ります。1994年には、母校の鹿児島大学に科学技術を中心とした知的交流を促進する場をつくろうと、10億円を寄付。稲盛会館が建設されました。

1995年には、京セラなど先端企業の立地が進む隼人町に、地上13階建てのホテル京セラを建設。ガラス張りの外観などしゃれたデザインが注目を浴びました。
1990年からは、稲盛さんが創設した京都賞の受賞者を鹿児島市に招いて講演会を開き、県内の研究者に刺激を与えました。

数々の業績を積み重ねて全国を代表する経済人となった稲盛さん。2011年には郷土の魅力を全国に紹介してもらおうと、初めての鹿児島市ふるさと大使に任命されました。

また2015年には県内に京セラの工場を次々に増設し、ふるさとの人材育成にも貢献しているとして県民栄誉表彰が贈られました。2019年には鹿児島県で初めてとなる「名誉県民」に選ばれています。