いまの時期はウミガメの産卵のシーズンです。北太平洋で最大のウミガメの産卵地は、屋久島。そこに7年ぶりに産卵に帰ってきたウミガメがいます。その名は「ジェーン」。産卵の様子を取材しました。

屋久島の北西にある永田集落「いなか浜」です。100キロあるといわれる体で浜を歩いているのが、アオウミガメの「ジェーン」です。

屋久島はアカウミガメの産卵地であるとともに、アオウミガメの産卵北限といわれています。
ジェーンの上陸が初めて確認されたのは、46年も前のことです。以来、およそ3年ごとに上陸していて、アオウミガメ研究のシンボルとなってきました。

しかし、ジェーンの姿は2017年を最後に見えなくなっていました。
もう、屋久島に来ないのか。死んでしまったのか…ジェーンを知る人たちからは諦めの声も上がっていました。
そのジェーンが7年ぶりに屋久島に帰ってきたのです。
(大牟田幸久さん)「ええ-と思った!嬉しいな-と思って。もう上陸はないだろうと思っていた。本当に嬉しかった」
この日は午前1時ごろ、上陸が確認されました。ジェーンはサメに食べられたのか、右の後ろ足が欠損していました。

上陸するのも、産卵のために穴を掘ることにも時間がかかります。そして2時間半かけて、およそ100個の卵を産み落としました。

ジェーンの記録です。残っているだけで、1988年からの36年間で、上陸は173回、産卵は39回目です。初確認された時期から推定して、ジェーンの年齢は70~80歳とされています。
頑張って屋久島にやって来る姿は、絵本や紙芝居にもなりました。地元にとっては、伝説のアオウミガメです。

(日本ウミガメ協議会 屋久島支部・大野睦さん)「あと何回出会えるかわからないけど、みんな今年最後かもって、10年くらい前から言い続けている。傷が増えてくるとやっぱり心配ですよね(産卵が確認できて)ひと安心です」
ウミガメの産卵シーズンは7月の終わりごろまでで、卵は60日ほどで孵化し、子ガメが海に帰って行きます。







