保険診療の拡大に時間がかかる理由について、伊藤教授は、先進医療が保険適用されるには十分な症例数を審査して、安全性や有効性を見極める必要があるためと話します。
(鹿児島大学 医療保障専門・伊藤周平教授)「本当は全部保険適用した方がいいが、医学の進歩が早く新たな治療法がどんどん出てくるので、そういうわけにもいかない。安全性、有効性を確認した上で保険に適用する手法を崩してはいけないと思う」
患者の体への負担が小さいとされる陽子線治療。荻野センター長は、保険診療の拡大をきっかけに、患者が経済的な壁を感じることなく自分にあった治療方法を選べるようになってほしいと話します。

(メディポリス国際陽子線治療センター 荻野尚センター長)「いろんな疾患で公的医療保険の適用にしてほしいと願ってるところは多々あるが、ゆっくりしか進まないのが現実。コモンキャンサー(一般的ながん)と呼ばれる非常に数の多いがんにおいては、公的医療保険の適用になることによって治療方法が大きく変わる可能性がある」
日本人の2人に1人が一生のうちに診断されるといわれる「がん」。公的医療保険の適用範囲の拡大で、がんと向き合う患者たちの治療の選択肢が広がることが期待されます。