防衛省は、中国海軍の測量艦1隻が20日夜、屋久島の南の領海に侵入したと発表しました。
この海域での領海侵入は今年4月にも確認されていて、これで4回目です。屋久島沖に何があるのか、中国軍の狙いは?
防衛省によりますと、20日午後6時50分ごろ、中国海軍の「シュパン級測量艦」1隻が屋久島の南で日本の接続水域を北に進み、午後8時ごろに屋久島の南の領海に入ったのを確認しました。
海上自衛隊の補給艦「ましゅう」と鹿屋基地のP−1哨戒機が情報収集と警戒監視にあたり、測量艦は3時間半ほど経った午後11時半ごろに口永良部島の西の領海から出て、西へ航行したということです。
中国海軍の艦艇による領海侵入が確認されたのは今年4月以来で、屋久島の漁業者からは不安の声が聞かれました。
(屋久島漁協 鮫島洋一参事)「(侵入した海域に)漁に行く人もいるので、遭遇したら不安。こういうご時世なので、何か起きないうちに取締まりなどちゃんとしてほしい」
松野官房長官は会見で、警戒・監視に万全を期していく考えを示しました。
(松野博一官房長官)「外交ルートを通じ、我が国周辺海域における中国海軍艦艇のこれまでの動向を踏まえ、我が国の懸念を中国側に伝えた。警戒監視活動等に万全を期していく」
中国海軍の艦艇による領海侵入は、防衛省が公表しているだけで2004年以降は6回。うち4回は屋久島や口永良部島周辺で確認されています。
なぜ、この周辺での領海侵入が相次いでいるのか?そして目的は?中国の軍事動向に詳しい東京の笹川平和財団・小原凡司上席研究員は、中国が進めようとする海洋進出が背景にあると話します。
(笹川平和財団 小原凡司上席研究員)「測量艦はおもに海図などを作成するために使われる船。(日本周辺で)データを収集する中で、屋久島周辺が、中国海軍の潜水艦が探知されずに太平洋に出入りするのに適していると判断した可能性がある。中国がデータ収集が十分でないと考えれば、(領海侵入が)繰り返される可能性がある」
屋久島・口永良部沖で相次ぐ領海侵入。防衛省は侵入の目的など引き続き分析を進めています。