生活保護の基準額引き下げは憲法に違反するなどとして、生活保護の受給者が松山市を訴えた裁判で、松山地裁は、減額処分の取り消しを命じる判決を言い渡しました。

この裁判は、厚生労働省が2013年に行った生活保護の基準額引き下げについて、松山市内の受給者30人が憲法の保障する生存権を侵害しているなどとして、市に減額処分の取り消しを求めていたものです。

28日の判決で、松山地裁の古市文孝裁判長は、引き下げの根拠とされたデフレ調整について「一部に論理の飛躍があるなど明らかに合理性を欠いている」と指摘し、松山市に対し、減額処分の取り消しを命じました。

裁判で生活保護の減額取り消しが認められたのは四国では初めてで、原告側は、報告会を開き、喜びを語りました。

菅陽一弁護団長
「こういう結論を迎えることができたことは本当に嬉しいこと」

原告 福岡哲男さん
「勝ったことはとても嬉しいが、それまで一緒に立ち上がってくれた仲間がだいぶ亡くなったので、いい報告ができるのは嬉しいが、やはり残念でならない」

全国では同様の裁判が31件行われ、地裁では松山を含め19件で、高裁では2件で原告側が勝訴しています。

菅陽一弁護団長
「我々が控訴審で戦っている間に、最高裁の判断が示される可能性がある程度あるのではないかと思う。いい方向になっていると私は思っている」

一方、松山市は「判決内容を確認し国と協議して今後の対応を検討したい」とコメントしています。