愛媛県松山市の中心部に新たなビジネスホテルが建設されることになり、現地で起工式が行われました。各地で再開発が進む松山市内では、宿泊施設も増加傾向。今後の見通しなどを専門家に聞きました。

新たに建設されるのは「アパホテル」で、23日の起工式では、アパグループの元谷一志社長が鎌入れをした後、出席者が玉串を捧げ、工事の安全を祈願しました。

ホテルは、再開発が進む松山市駅から徒歩数分の立地で、延べ床面積およそ3500平方メートルの地上11階建て、客室数211の計画です。

県内のアパホテルはこれで2棟目で、来年夏の開業を目指します。

アパグループ 元谷一志社長
「多くの国内外、もとより訪日外国人旅行者も含め、この地を訪れることは多くあると思うので、こちらを拠点に道後や東予などいろいろなところに出向いていただければ幸いです」

ところで、松山市によりますと、市内のホテルなど宿泊施設の数は、昨年度末現在228軒で、コロナ禍の減少から一転、前の年度から8軒増加しました。

民間の研究機関、いよぎん地域経済研究センターによりますと、県内の宿泊者数はコロナ前の8割まで回復しているということです。

中でもインバウンドはコロナ前の1.5倍に増加していて、今後も円安水準を背景に、宿泊需要は高まると分析しています。

いよぎん地域経済研究センター 菅正也主席研究員
「道後温泉本館が通年で全面再開の効果が期待でき、松山空港の国際線の発着便数が過去最多となる予定ですので、こうしたことから松山市内の宿泊需要というのは高まっていくものと思われる」

ただ、県民文化会館前の県有地をはじめ、国際会議場や宿泊などいわゆるMICE機能を備えた施設の誘致については、資材価格の高騰もあり不透明な状態です。

いよぎん地域経済研究センター 菅正也主席研究員
「資材価格の高騰や人手不足の現状を考えると、単独のプロジェクト1つでコスト負担と収益性のバランス取ることは厳しいものがあるとも感じる。大きな都市構想の中で、松山市の対外的な魅力を向上させることと、市民にとっての利便性の向上の両面から検討していく必要があると考える」

一方、MICE誘致を掲げた中村時広知事は、早期の誘致実現を訴えます。

中村時広知事
「MICE機能、いろんな意見を頂戴する中で、今、愛媛県には宴会場もない、グレードの高い宿泊施設もないというのは地方都市としてすごく弱みになってきているので、可能な限りスピーディーにやっていきたいと思う」

人口減少と地方間の競争が激しさを増す中、にぎわいをいかに愛媛へ呼び込むか?

今こそ官民一体のまちづくりが求められています。