妻の実家がある愛媛県へ 地域の高校生にも経験語る

森口さんは、1か月ほど近くの親戚の家に身を寄せたのち、妻の実家がある愛媛県八幡浜市へとやってきました。

「八幡浜になじむために突っ走ってきたという感じですかね。でも並大抵ではなかったですけれどもね」

不安から始まった愛媛での生活も30年。森口さんは毎年欠かさず、石手寺の慰霊祭に参列してきました。

「僕が行きだした頃は石手寺にこれだけ入れるのかっていうぐらい、被災者がいましたけど、兵庫に帰った人もいれば亡くなった人もいるし、結局今は2~3人」

こうした中、森口さんは去年「経験した者の役目」として、初めて地域の高校生に自身の経験を語りました。そこで一番に伝えたことがあります。

「とにかく逃げろと。命に関わることだから、自分を守るのは自分しかないわけだからね」

震災から30年。

「やっぱり大事ですよ。きょうという日は。忘れようとしても忘れられないし、忘れたいけない。石手寺で慰霊祭をやってくれる限りは来ます、体が動かなくなるまで」