震度7を観測した能登半島地震から1か月が経ちました。今なお多くの人が避難所で暮らす被災地で危惧されているのが、「感染症のまん延」です。被災地に派遣された櫻井滋医師に話を聞きました。

石川県のまとめによりますと能登半島地震で亡くなった人は、1日現在、関連死15人を含め240人で、未だに安否の分からない人も15人います。
ホテルなどでの2次避難も含め避難生活を続けている人の数はおよそ1万4000人です。
日本環境感染学会の災害時感染対策検討委員会の副委員長を務める元岩手医科大学教授の櫻井医師は、石川県や厚生労働省からの要請で1月、2度にわたりDICT=災害時感染制御支援チームとして被災地に派遣されました。

(櫻井滋医師)
「今回、私の担当だったのは門前というところで、感染対策の看護師さんと、それから薬剤師とかですね。あるいは検査技師のようなロジチームっていうんですけれども、後方支援のチームの方と3名で行ってきました」

避難生活が長引く中、危惧されるのが多くの人が暮らす避難所での感染症のまん延です。

(櫻井医師)
「幸いにしてですね、大規模ないわゆるアウトブレイクっていう感染の広がりはありません。ただし一方で家庭で炊き出し、あるいは地域で炊き出しっていう中で、いわゆるノロウイルスという、ウイルス性の下痢症ですね。これは確認されています」

DICTは、東日本大震災での経験を踏まえて日本環境感染学会の中に作られた組織です。
活動には震災で得たノウハウも生かされていますが、今回の地震で見えてきた新たな課題もあります。

(櫻井医師)
「避難所が劣悪だという言い方よりも、運用の方法あるいは準備体制ですね。普段体育館として使ってるんだけどここは避難所になるんだっていう認識がとても大切なんですね。スポーツセンターを建てるんじゃなくて避難所を建てるんだっていう認識もおそらく必要だと」

発生から1か月、能登半島地震の被災地への長期的な支援が求められる一方で、改めて災害時の備えについて考えることが求められています。