
「目立たないように。誰かと揉めないように。輪を乱さないように。そうやって生きてきたのが私だ。そんな私が、人生で初めて『タガが外れる』という現象を体験したのは、想いを寄せる歩空先輩のせいだった。」これは、岩手県矢巾町を舞台にした小説「私の世界に徳丹城はない」の一説です。
28日に小説の第1部が発表されるのを前に、執筆した町内在住の作家、綿世景さんを交えた挿絵のイラストなどの準備が急ピッチで進められています。
この小説は、矢巾町で地域活性化に取り組むNPO法人やはば協働センターが、初めて企画したプロジェクトで作成されたものです。

(NPO法人やはば協働センター 水本 考 理事長)
「徳丹城の活性化の話題づくりのために映画や小説を作って、それが話題になれば若者の聖地巡礼の聖地になってくれるのではないかと考えて、そこからストーリーを作ってくれないか、小説を書いてくれないかとお願いした経緯がある」
徳丹城は平安時代初期813年頃に、征夷大将軍の文室綿麻呂によって造られた城柵とされています。1969年に国指定の史跡となり、2006年の発掘調査では全国的にも珍しい木製の兜が出土しました。地域の歴史や大切な史跡を小説という形で広くPRしようという狙いです。


