去年9月、北海道旭川市で、30代の夫婦を殺傷した罪に問われている58歳の男の裁判は、懲役25年が求刑され、22日、結審しました。きっかけとなった小学生の娘の“いたずら”や被害者の言動などをめぐり、大きく異なる検察・被害者側、被告・弁護側の主張、説明を振り返ってみます。

 起訴状などによりますと、旭川市の無職、川口和人被告58歳は、近くに住んでいた30代の夫婦、Aさん(夫)とBさん(妻)を折りたたみナイフで何度も突き刺し、Aさんを死亡させた殺人、Bさんに重傷を負わせた殺人未遂の罪に問われています。

 11月14日から旭川地裁ですすめられてきた裁判員裁判では、被害者特定事項秘匿制度により、夫婦は匿名にされ、検察、弁護側は、それぞれ下記のように主張、経緯などを説明。

現場は、川口被告の自宅前(去年9月)

 きっかけになった玩具の銃の弾を被告宅に投げた長女、妻のBさん、被告の精神状態などを鑑定した医師の証人尋問なども行われてきました。

 22日、検察は「残忍な犯行で、落ち度がない被害者の刺し傷は20か所にも及び、被告に反省の態度は一切、見受けられない」と厳しく指摘し、懲役25年を求刑。

川口被告の自宅

 これに対し弁護側は「被害者の風貌などからくる恐怖感から、全て自己防衛的であり、正当防衛である。殺すつもりはなく、殺人も殺人未遂も成立しない」と反論。
 
 被告は、検察からの100項目以上の質問を全て黙秘した後、最終陳述で「取り調べで屈辱を味わい、精神が破たんして自殺を考えた。黙秘は権利。本当は重要なことも話したいが、誤解を生むので話さない」などと述べ、裁判は結審していました。