気象庁は9月12日午前9時30分、北海道・十勝岳の噴火警戒レベルを3(入山規制)に引き上げました。振幅の大きな火山性地震の増加に伴う措置で、火口から約3キロの範囲で大きな噴石への厳重な警戒が必要です。
札幌管区気象台は記者会見を行い、詳細を説明しました。
火山性地震が増加 レベル引き上げの背景
●引き上げの要因
十勝岳では以前から熱活動が高い状態が続いていましたが、8月17日以降、山頂周辺を震源とする振幅の大きな地震が増加していました。8月17日に1回、20日に2回と合計3回発生していましたが、9月12日午前9時までにさらに2回観測されました。これにより、過去30日間の積算回数が5回に達しました。この「積算回数5回」という数字が、噴火警戒レベル判定基準においてレベル3へ引き上げる条件に該当したため、今回の発表になりました。
命の危険を伴う大きな噴石 3キロ圏内の入山規制
●3キロ範囲への入山規制
今回、レベル3となったことで、62-2火口から概ね3キロの範囲が警戒区域となります。これまでは1.5キロの範囲でしたので、規制範囲が広がりました。
●大きな噴石への警戒
この3キロの範囲内では、もし噴火が発生した場合、弾道を描いて飛散する「大きな噴石」が飛んでくる可能性があります。大きな噴石に当たると命の危険があるため、大変危険です。
●危険地域への立ち入り禁止
居住地域には影響はないと見ていますが、登山などは基本的に禁止となります。また、吹上温泉や十勝岳温泉などの一部の地域では、自治体の判断により避難などが必要になる場合があります。地元の自治体の指示には必ず従い、危険な地域には絶対に立ち入らないようにしてください。
●風下への注意
噴火した際には、風下側に火山灰や小さな噴石が流されて降るおそれがありますので、こちらにも十分注意してください。
過去のマグマ噴火との類似点 今後の活動推移
●マグマ噴火の可能性
1988年〜89年のマグマ噴火の際にも、噴火の約2ヶ月前から今回のような振幅の大きな地震が増加していました。ただし、当時はもっと急激に回数が増えていたため、現状ですぐにマグマ噴火が起こるとは断言できません。しかし、可能性がないわけではなく、今後の活動推移によっては大規模な噴火に繋がる恐れもあります。
●レベル引き下げの条件
レベルを3から2に引き下げるためには、振幅の大きな地震が30日間の積算でゼロになり、かつ他の観測データにも異常がない状態が1ヶ月程度続く必要があります。そのため、少なくとも当面の間はレベル3の状態が続くと見込まれます。
●積雪期への警戒
十勝岳では、例年11月下旬から5月頃までが積雪期となります。積雪期に現在のレベル3相当の火山活動が続いた場合、融雪型火山泥流が発生する危険性が高まるため、噴火警戒レベルを4(高齢者等避難)に引き上げる可能性があります。
気象庁では、引き続き、火山の防災情報に注意するよう呼び掛けています。
(参考:噴火警戒レベルの説明)
【レベル5(避難)】:危険な居住地域からの避難等が必要。
【レベル4(高齢者等避難)】:警戒が必要な居住地域での高齢者等の要配慮者の避難、住民の避難の準備等が必要。
【レベル3(入山規制)】:登山禁止や入山規制等危険な地域への立入規制等。状況に応じて高齢者等の要配慮者の避難の準備等。
【レベル2(火口周辺規制)】:火口周辺への立入規制等。
【レベル1(活火山であることに留意)】:状況に応じて火口内への立入規制等。(注:避難や規制の対象地域は、地域の状況や火山活動状況により異なる)







