今年=2023年は、宇宙輸送の流れが大きく変わる年といわれています。
気球に乗って「宇宙の入り口」まで。札幌のスタートアップ企業が、そんな“宇宙旅行”をこの1年の間に始めようとしています。
船からゆっくりと上昇するカプセル。UFOではありません。動かしているのは気球。
アメリカのベンチャー企業、「スペース・パースペクティブ」が開発中のスペースシップ「ネプチューン」です。
2時間かけて「宇宙の入り口」の高度30キロまで上昇。眼下に広がる地球を2時間ほど眺めて地上に戻る宇宙ツアーです。
この「ネプチューン」を使ったツアーの販売が、旅行代理店HISで先週=18日から始まりました。
費用は1人、およそ1600万円。船内はパイロット1人に乗客8人が乗れ、飲食も自由で、Wi-Fiもあります。
2024年中のツアーは完売。今、2025年分の予約を受付中です。
注目を集めるスペースバルーン。実は、札幌のスタートアップ企業も実用化に王手をかけようとしています。
札幌に本社を構える、宇宙開発のスタートアップ企業、岩谷技研(いわやぎけん)です。
記者
「どうも…HBCです」
岩谷技研 岩谷圭介 社長
「よろしくお願いします」
創業は2016年。ヘリウムガスを使った巨大な気球で、無人では、高度25キロのフライトにも成功。
安全性を高めるため、今は、有人飛行のテストを繰り返しています。
岩谷技研 岩谷圭介 社長
「これは2人乗りのキャビンで、一番初めにサービスを始めようと思っているんですが、その模型です。本格的すぎない、宇宙服とまでいかないくらいの加圧服は着てもいいかもしれないが、それすら必要ないように造っています。極端な話をすると、この格好(普段着)でも乗れるくらいの設計にしております。温度変化がある可能性が十分あるので、ある程度キャビンの方で守りつつ、それでやりきれない場合は体の方であたためる装置もあるので、全体で暖めてあげる方法も考えているが、たぶんその方法はとらない」
現在、開発中の最新モデル2人乗りのキャビンの模型です。
眺めが良くなるよう、幅の広い窓にシートが2つあります。
気球の最大のメリットは、ロケットのような特別な訓練が必要ないことです。
打ち上げ場所は、これまで実験を重ねてきた帯広の隣、幕別町が有力で、料金は1人2000万円台。
来年(2024年)3月までに宇宙遊覧サービスを始める予定です。
岩谷技研 岩谷圭介 社長
「ロケットで宇宙に行く場合は何十億円の後半の費用がかかってしまう。そういうものとは金額帯は全然別のものになる。ですから需要は十分あると私は考えているところですが、予約は取ってみないとわからないので、『需要はしっかりありますよ』は取れてから言います」
2人乗りキャビンは、来月中に実機モデルが完成する見通しです。
1月23日(月)「今日ドキッ!」午後6時台