北海道新幹線の札幌延伸の事業費が鉄道・運輸機構の新たな試算で、さらに1兆円以上増える見通しであることがわかりました。

19日午後。札幌から小樽へと地下深くを掘り進む新幹線トンネル工事の最新映像です。

片山侑樹記者
「星置工区の一番奥に来ました。向こうで行われているのはトンネルの壁にボルトを入れて壁を補強する作業です」

長さが26キロもある札樽トンネル。

今回取材をした工区はおおむね順調ですが、トンネル全体では、計画よりも3年程度、工事が遅れています。

新函館北斗から札幌までトンネルが8割を占める北海道新幹線。

羊蹄や渡島など3つのトンネルで工事が遅れ、開業時期も、2038年度末以降と大幅に遅れる見込みです。

これを受けて、建設を担う鉄道・運輸機構が新たに事業費を試算したところ、資材や人件費の高騰で現在の2兆3000億円から最大1兆2000億円も増える見通しであることが関係者への取材で分かりました。

鉄道・運輸機構は早ければ19日にも、この試算結果を国に報告する見通しです。

事業費の一部は沿線の6つの自治体も負担していて、増加には反発が予想されます。

新幹線の札幌・新函館北斗間の事業費は当初「1兆6700億円」でしたが、資材や人件費の高騰で23年3月に「2兆3150億円」に。

さらに今回、工事期間の大幅延長などで1兆2000億円も増える見込みで単純に足すと総額は「3兆5150億円」になる計算です。当初の2.1倍まで膨らむ計算です。

経済成長の象徴とされた新幹線ですが負担の増加による反動で今後、新幹線の不要論が噴き出さないよう国も知恵が必要です。