■“縮む地域交通”バスがつなぐ総合医療

『きよっちメディカルバス』の発案者、札幌美しが丘脳神経外科病院の髙橋明理事長は、交通の便に加え、清田区には、もう一つの”弱点”があると指摘します。

札幌美しが丘脳神経外科病院・髙橋明理事長
「清田区には総合病院がないので、ただ多くの専門病院があって、その専門病院同士をつなぐことによって地域全体が総合病院のような形に機能できるのではないか」

JRや地下鉄の駅だけではなく、清田区には『総合病院』もありません。

このため、複数の診療科を受診しなければいけない場合、別々の病院に行く必要があるため、通院だけで数日かかることも多かったと言います。

そこで、病院と病院をバスで結ぶことで、総合病院のように利用してもらうのが、もう1つの狙いです。

札幌美しが丘脳神経外科病院・髙橋明理事長
「やはり地域交通なので、その地域に首座を置いてる人たちが何が必要かとか、やっぱり考えなければいけないと思うんですね」

今年度の事業費は、およそ2600万円。このうち3分の2を、国の補助金で賄いますが、残りは病院側が負担しています。

今後、『地域の足』として継続していくためには、病院だけではなく”地域の協力”が必要になってくると考えています。

札幌美しが丘脳神経外科病院・髙橋理事長
「(地域交通を)地域の中で誰が担うのかというのは、各交通空白地域を持つ所で話し合う必要があるだろう」

「市が主体となることは非常に重要なんですが、運用自体は、やはり地域の方々が運用をしていく、地域の方々が住み良くなるような形で運用していくというのが、大切かなというふうに考えています」

■国の補助制度を活用した取り組み

国の補助制度を活用した取り組みは各地で行われています。

【士別市・習い事応援タクシー】

士別市では交通手段がないことで部活や習い事を断念しないように、習い事に通う小中学生を対象に小中学校・児童館・自宅から習い事の施設までタクシーで送る実証実験を行っています。

▼事前予約制で料金は市街地が400円、市郊外は1300円
▼きょうだいが同時に利用すると2人目が半額になるなど、さまざまな割引サービスも
▼実証実験は今年度で終了し、小中学生にアンケートを実施したうえで来年度以降、事業化するかを検討

【上士幌町・郵便集配車でライドシェア】

上士幌町では、郵便局に委託して去年10月からの2か月間、郵便局の集配車の助手席に高齢者を乗せて運ぶ、公共ライドシェアの実証実験を行いました。

▼中心部から十数キロ離れた居辺(おりべ)地区3世帯の高齢者が対象、町が貸し出しているタブレットで事前予約
▼料金は片道1000円。2か月間で44回の利用
▼今年度の実証実験は行わず、今後の事業化については、日本郵便と相談

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