■函館市と北海道大学が国内初の養殖に着手

主に北アメリカやロシアで漁獲されるキングサーモン。

2年~5年かけて海を回遊したのち、産卵のため生まれた川に戻ります。

大きいものでは体長1メートル以上、重さ50キロ近くに達することもあり、サケ科の中で最も大きく成長する、まさに「サケの王様」です。

日本では「マスノスケ」とも呼ばれ、国内では日本海や太平洋沿岸などで、わずかにとれる程度、高級魚として高値で取引されています。

そんな希少なキングサーモンを函館の新たな特産にしようと、4年前、函館市と北海道大学などが協力し、国内初の養殖に動き出しました。

そして6月、長年の努力が実を結び、初めて約100匹が水揚げされました。

・麻原衣桜記者
「こちらが今回初水揚げされたキングサーモンです。長さは約70センチと、とても大きくて持ち上げてみると、ずっしり重たいです」


・北大大学院 水産科学研究院 藤本貴史教授
「キングサーモンを函館地区の独自のものにするのであれば餌にも工夫を加えながら。函館といえばキングサーモンと言われるような魚にしたい」

■新たな特産としてブランド化へ

キングサーモンの養殖に乗り出した背景にあるのは、スルメイカの記録的な不漁です。

・漁師
「ちょっと期待外れ」
「燃料代にならない。厳しい」


2025年は漁の解禁日に水揚げがなく、初競りが中止になる異例の事態に。

函館市のスルメイカの水揚げ量は、2008年に約8,900トンありましたが、2024年、その約4%しかない400トンまで落ち込みました。

そこで目をつけたのが、キングサーモンの養殖です。

函館市の新たな特産にしようと、ブランド化を目指しています。

・会場の司会
「どうぞ皆様、お弁当を開いていただいて、ご賞味ください」


7月初週、関係者を集めて行われた試食会。

刺身や寿司、塩焼きなどが入った弁当が提供されました。

養殖したキングサーモンのお味は…。

・麻原衣桜記者
「ほどよく脂がのっていて、舌ざわりがとっても滑らかです。サーモンの濃厚な味わいが口いっぱいに広がります」


・北大大学院 水産科学研究院 藤本貴史教授
「いや本当に涙でてきちゃった。こうやって食べられるまでこれたのは、心から魚に感謝している」

・北大大学院 水産科学研究院 藤本貴史教授
「養殖に向いてくると、脂の乗った魚が作れてくるので目標はまだまだ先」


今回、試食の料理を手掛けた飲食店の山田総料理長も、このキングサーモンに期待を寄せます。

・旬花グループ 山田一美 総料理長
「脂もそんなしつこくなく、上品な脂でおいしい。このままいって成功させて、本当にブランド化してほしい」