◆《17歳のときに路上強盗「なんであんなことを…」》

 松田裕輝さんは、少年法でいう元“犯罪少年”です。かつて松田さんが起こした路上強盗の現場で、こう事件を振り返ります。

松田裕輝さん(27):
「あの辺ですね…あの辺。うーん、なんであんなことをやってしまったのか…というのはあります。被害者の方に申し訳ない気持ち…、申し訳ないで済むような話ではなかったんですけれど」

【事件を伝える当時のニュース】
<「きょう未明、札幌市東区の路上で、帰宅途中の50歳の男性が少年とみられる5、6人の男に襲われ、現金を奪われました」>

今から10年前、17歳だった松田さんは、仲間3人と通行人の男性を襲い、5000円ほどを奪って逃走。被害者は、ろっ骨を折る大けがをしました。そして事件の半年後、松田さんは逮捕されます。

松田裕輝さん(27):
「捕まった時は、人生終わったと思いましたね。その時は、被害者のことを考えるよりかは、“自分がこれからどうなるんだろう…”ということしか、頭になかったです」

 1年あまりの少年院の生活。社会に戻った後も、すぐには立ち直れませんでした。

松田裕輝さん(27):
「少年院から出てきた後、もまともな人間ではなかったんですけれど…。当時、目の前に覚せい剤とかがあったら、恐らくやっていたんじゃないかなって…」

◆《“寂しい子どもたちを減らしたい”という願い―》

 松田裕輝さんは5人兄弟の二男。両親の離婚で、母子家庭で育ち、いつもお腹を空かせていたといいます。

松田裕輝さん(27):
「小さい頃、お金が無かったので、おやつを食べることができなかったんです。それで梅干しとか海苔とか、味噌とか紅ショウガとか…冷蔵庫にあるものをひたすら、漁って食べていました」

 松田さんの駄菓子店には、独自のシステムがあります。拾った“松ぼっくり”を5つ持ってくると“1ぼっくり紙幣”と交換。そして、“1ぼっくり”で、駄菓子1つと交換できるのです。

“お金がなくても、子どもたちは楽しめる―”。そんな松田さんの思いが込められています。

松田裕輝さん(27):
「目標は寂しい子どもたちを減らしていこう、いいコミュニケーションを取れるお兄さんたちでいられたらいいな…と思っています」

駄菓子店兼Barを営む松田さんの本業は、内装業です。仕事に始めるきっかけは、2024年に亡くなった父の姿でした。

松田裕輝さん(27):
「父親が内装屋さんをやっていて、14歳、15歳のときに手伝いをしていたんですよ。カッコいいと思って、建築系の高校に入学したんですけれど…」

松田さんのもとで働く人の中には、高校を中退した若者もいます。

松田裕輝さん(27):
「これをスポっとハメる。隙間が空いてんじゃん…これでOK」

 従業員(16):
「(高校を中退した後)自分で仕事を探そうと思ったんですけれど、パッと来る職がなくて…その時に紹介してもらって」