■高齢化社会に必需の見守り 対面で弁当手渡しの安心
この配食サービス、札幌市が業者に委託する事業もあります。
しかし去年6月、札幌の中央区の業者では、安否確認を怠り、利用者が死亡状態で発見されたことがありました。
配達員が80代の女性の家を訪れたのですが、応答がありませんでした。
本来は緊急連絡先に連絡することになっていたのですが、配達員は連絡せず弁当をドアノブにかけて去りました。
翌日、別の配達員も弁当をドアノブにかけたまま去り、その日の夜に女性の家族が倒れているのを見つけて、病院に運ばれましたが死亡が確認されました。
この問題が起きて以来、安否確認などを徹底されていますが、いま別の問題で業者の負担が増えてきています。
■物価高と見守り厳格化で変わる配食サービスの現場
・『ライフデリ手稲店』のオーナー、清野秀明さん
「今はお米だとかガソリン、人件費などの方が上がっているので、お客様が増えてもそういうところはちょっと大変だなと思うところ」
ライフデリ手稲店は、札幌市からの事業委託も受けていて、市からの委託料は1食424円。
事業者は、利用者が支払う500円と合わせて924円で食材の調達から調理、配達、そして安否確認まで行います。
これは過去5年間、札幌市の高齢者配食サービスを利用した人の月平均の推移です。

高齢化の進行とともに、利用者は年々増え、去年はひと月で2400人が利用しています。
一方、配食の委託事業者は年々減少しています。
しかし、市から払われる『ライフデリ手稲店』への委託料は物価高騰が続く中、去年から6円しか上がっていません。
・『ライフデリ手稲店』のオーナー、清野秀明さん
「私の店はまだそんなに規模が大きいわけじゃないので、それでも1週間で50~60キロの米を使ってる。月にすると200~300キロぐらい使ってますけど(値段が)倍になっちゃってますので…」
年金で暮らす高齢者のことを考えると、急に値段を上げられないのが現実です。
・『ライフデリ手稲店』のオーナー、清野秀明さん
「この事業を疲弊するからやめたとかっていう風にはならないですよね、これだけ需要があると」
多くの利用者に少ないスタッフで配達するため、会話の時間を減らすなど効率化が余儀なくされています。

物価高と人手不足。
さらに利用者の増加が見込まれる状況で、事業者の負担がさらに増えるのは確実です。