2022年に北海道知床半島沖で観光船「KAZU1」が沈没し、乗客乗員あわせて20人が死亡、6人が不明となった事故で、乗客家族らが運航会社とその社長に損害賠償を求めた裁判が、13日札幌地裁で始まりました。
初弁論では、父親を亡くした男性が「たくさんのあるべき未来や出来たことが、あの日のことですべて壊されてしまいました」と涙ながらに意見を述べ、、桂田社長は終始、うつむいた様子で聞いていました。

またこの日の初弁論では、他の乗客家族らも桂田社長に直接、責任を問いただしました。

■乗客家族の意見陳述
・長男と元妻が行方不明になった帯広在住の男性
桂田社長は一番責任を負わなければならない立場にあるにもかかわらず、自分には責任がない、悪いのは船長などと言って、全く反省しているとは思えません。
冷たい海水が迫る中、大人でも怖い状況なのに、7歳の息子は船体が傾く中で言い表せない恐怖だったと思う。
私は子どもを抱きしめたい、子どもと手をつなぎたいと思ってもできません。でも今は夢で会うことしかできません。2人を夢で見るたびに内容を書き留めていたことがあります。
沈没から1週間ほどたって、もしかしたら2人は乗船前に乗るのをやめていたんじゃないか。そうあってほしい、奇跡が起きて生きていて欲しいという思いもあったが、漂着したリュックをみてやっぱり船に乗っていたのかと思い、涙が止まりませんでした。そのリュックは、息子の一番のお気に入りのリュックサックでした。
事件から3年が経過し、裁判に参加するため死亡届を提出しましたが、2人を待ち続ける気持ちに変わりはありません。もう死ぬまでこの喪失感は消えないと思うし、笑うことはあっても心から笑うことはできないと思います。
・別の乗客家族
桂田社長は、天候悪化をわかっていながら軽率な判断で父の命を奪った。平気でウソをつく桂田社長に強い怒りがある。反省しているとは思えない。父の無念を晴らすために裁判に参加した。
・別の乗客家族
今まで大事にしてきたものが無くなって、どう生きればいいのかわからない。
・別の乗客家族
父は傾く船から母に電話してきた。船が傾いている、海水が冷たすぎて泳げそうにない。父は最後に「じゃあ切るね」と言って電話を切った。

