■効果的な薬がない…マイコプラズマ・ジェニタリウム

「淋菌感染症」「クラミジア」に並び、新たに猛威を振るい始めているのが、「マイコプラズマ・ジェニタリウム」です。

マイコプラズマ・ジェニタリウムの医学的イラスト(CDCより)

「マイコプラズマ肺炎」によく似た細菌で、尿道や子宮頸管に炎症を引き起こすことが知られています。これがいま「淋菌」以上に薬剤耐性化が進み、効果的な薬がない状況に陥っています。

・札幌医科大学 安田満 医師
「『マイコプラズマ・ジェニタリウム』は基本的に3つの薬しか使えません。このうちのひとつは、もともと効果が弱く、実際には2つしかない状況です。しかし、最近になって、これらの薬にも耐性を示す菌も出始めていて、『切り札』の薬がなくなっています。100%有効という薬がないんです」

■性行為をする際の予防「ノー」「ステディー」「セーファー」

薬への耐性が進む性感染症。

感染拡大を食い止めるためには、基本的な予防をきちんと行うしか方法はないと安田医師は話します。

・札幌医科大学 安田満 医師
「感染しないということで言えば、性行為をしない『ノーセックス』ということがひとつです。ですが、それは現実的ではありません。であれば、パートナーを固定する『ステディーセックス』で両者とも感染の機会をなくす。もうひとつは、コンドームを使用する『セーファーセックス』。これらは昔からずっと変わりないです。どれだけ薬が発達しようが、感染しなければ薬も使わなくもいいので、予防が大事になります。やはりこれはすべきだということです」

■郵送で検体を送り受診「郵送検診」の活用も

安田医師は採取した血液や尿などの検体を郵送して検査する「郵送検診」も有効だと話します。

・札幌医科大学 安田満 医師
「特に未成年の方だと保険証のことがあったりするので、病院に行きづらいと思います。そうすると『郵送検診』は受検しやすい。ただ注意が必要なのは、検査が特殊な方法になりますので、どういう精度になるのかを検討しないといけません。ですが、この精度を高めていければ、非常に有効な手段だと思います」

日々、脅威を増してく性感染症の薬剤耐性化。

新薬の開発が一刻も早く急がれている中で、感染拡大を抑えるためには、感染予防の徹底と早めの受診が求められています。

札幌医科大学 安田満医師

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◇取材・構成 長沢祐記者