長谷川さんのヤジについて、刑事訴訟法や警察官職務執行法に詳しい豊崎七絵九州大学教授は「過去の判例に照らしても選挙妨害に該当しない」と解説する。1948年の最高裁の判決では、選挙妨害とは「聴衆がこれ(演説)を聴き取ることを不可能又は困難ならしめるような所為」と、大阪高裁も1954年に「選挙演説に際しその演説の遂行に支障を来さない程度に多少の弥次を飛ばし質問をなす等は許容されるべきところである」としている。
一方、排除した民間人や警察の対応こそ問題だと複数の専門家は語る。
小野寺信勝弁護士(道警ヤジ排除訴訟弁護団事務局長)
「排除した男性は暴行罪の可能性がある。場合によっては監禁罪に該当するかもしれない。米袋を破った行為は器物損壊罪に当たる」
「職務質問の要件を満たしていないのに、同行を拒否している長谷川氏に対して交番への同行を強制した警察の対応は問題」
豊崎教授は「警察官は暴行罪や器物損壊罪といった『犯罪がまさに行われようとするのを認めた』(警職法5条)ということで、民間人に対する警告が可能であり、また特に排除との関係で急を要する場合には制止が可能であったと思われる」と話す。

しかも長谷川さんによれば、排除した男性らは初宿氏側の選挙スタッフとみられる(初宿氏の後援会に取材を申し込むも、2月21日現在回答なし)。
当時、街頭演説を取材していた「選挙ウォッチャーちだい」さんも、男性らは「演説が始まる前にのぼりを立てるなど色々な作業の手伝いをしていた」と話し、選挙スタッフではないかと推測する。
では、なぜ排除という行動に出たのだろうか?