高齢になっても働き続けることを「生涯現役」と言いますが、それを体現する99歳の看護師がいます。「定年は必要ない」と働く彼女が考える“人生100年時代”とは?年下の入居者の看護をする、彼女の日常に密着しました。
「誰かの役に立ちたい」と看護師一筋80年

三重県津市にある高齢者施設「いちしの里」。大正13年生まれの御年99歳の女性、池田きぬさんはこの施設の入居者ではなく、“看護師”として働いています。
(看護師・池田きぬさん)
「ここに就職した時には88歳でした。もう2、3年最後の仕事をして、それでもう辞めようと思ってそのつもりでここに来たんですけど、もう10年たちました」

働き始めた頃は、週4日のフルタイムで働いていましたが、最近は人手が少ない週末などに、数時間だけ勤務しています。
入居者のほとんどが池田さんより年下です。エプロン姿で生き生きと働く池田さんの姿に、入居者も元気をもらっているようです。
池田さんが看護の世界で働き始めたのは19歳。太平洋戦争中は日本軍の看護要員として兵士たちの手当てをしていました。終戦後は地元の三重県に戻って結婚し、子育てをしながら、看護師の仕事を続けてきたのです。

(看護師・池田きぬさん)
「仕事に出てばっかりおるから、うちにいると取り残されている気がして。みんなと一緒に、話しながら動きながら仕事をするという環境が、いつの間にか合っているようになったんです」
看護師一筋、80年。しかし、最近では年を重ねるにつれて衰えを感じ「他のスタッフの足手まといになりたくない」と思うようになりました。
それでも、池田さんが働き続けるのは「誰かの役に立ちたい」という思いがあるからです。