八丁ダルミ入り口には多くの登山客が

(吉田翔記者)
「山を登り始めておよそ2時間。ここから先が想定火口域になります。登山道の道幅は2、3メートルで急な斜面が続くので、噴石などが落ちたら逃げるのは困難」

ごつごつとした石が足下に続く登山道を進みます。

「午前10時前です。およそ3時間山を登り、八丁ダルミの手前まで到着しました。ここから先はおよそ9年間立ち入り禁止になっていたんですが、この後10時半から通行可能になる予定です」

八丁ダルミ入り口の王滝頂上には、立ち入り規制の解除を待つ多くの登山客がいました。そして…。

(長野・王滝村 越原道廣村長)
「規制緩和を行います。安全に登山を楽しんでください」

鋼鉄製のシェルターが完成

午前10時半。立ち入り規制が解除されました。王滝村は安全確保のため、ヘルメットの着用や速やかに移動することを呼び掛けています。さらに…

(吉田翔記者)
「こちらが噴火が起きた際、身を守るためのシェルターです。30人収容できるということで、こちらと奥にあるもの、八丁ダルミには合わせて2つのシェルターがあります。ただ他に身を隠せるようなものはなく、噴火が起きた際にこれで全ての人の命を守れるのか疑問が残ります」

高さ2メートル14センチ、幅2メートル50センチの鋼鉄製の避難用シェルターが2つ。再び噴火が起きた際、果たしてこれで安全確保は十分なのか、王滝村の越原村長に尋ねました。

(長野・王滝村・越原道廣(こしはら・みちひろ)村長)
「確かに言われる通り(シェルターが)多ければ多いほど安全かもしれないけれど、設置できる場所も制約されるので当面この2つと考えている」

シェルターを設置できる平らな場所に限りがあるため、当面はこのままです。

「ここで噴火が起きたら助かるのは難しい」

安全対策について訪れていた登山客は。

(登山者)
「遺族の方ももうちょっと(遺品を)探したいというのもあったかもしれないけれど、僕ら(登山者)もこのルートを使いたいというのもあったし、何とも言えない」

「涙が出てきました、まだ見つかっていない人がいるでしょ。(9年前)たまたま噴火の日に登るのを予定していたが、一緒に登る方がちょっと自信がないからやめますということでやめて、命拾いした」

「『ここで噴火が起きたらまず助かるのは難しいだろうな。逃げるのは大変だっただろうな』と思いながら歩いた」

多くの犠牲者が出た八丁ダルミ。今シーズンは10月11日まで通行が可能です。国内の活火山は111。御嶽の教訓を忘れてはなりません。