視聴者の身近なギモンや地域の困りごとを徹底調査する「チャント!調査隊」。今回はエレベーターです。

6月10日、JR岐阜駅の改札の中に初めてエレベーターが設置されました。

そもそも、なぜこれまでエレベーターがなかったのか、調査しました。


(駅の利用者)
「荷物を持っていると、ないのは不便。いかがなものか」

岐阜駅の利用者が困っていたこと、それが…。

(駅の利用者)
「高齢化社会ではエレベーターがあって当たり前」

6月10日、JR岐阜駅に設置された、エレベーター。


岐阜駅は3階にホーム、2階に改札がある構造ですが、実はこれまで改札の中にエレベーターがなかったんです。


車椅子に乗る人やベビーカーを押す人など、エレベーターが必要な人がホームに上がる場合、駅の係員に声をかけて改札の外にある業務用のエレベーターで係員に同行してもらいながらホーム階に上がっていました。


ホーム階から改札階に降りるときも同様にホームの端にある業務用のエレベーターのインターホンを押して係員を呼ぶ必要があったのです。

子育て世代の母親を支援する団体は。

(こどもトリニティネット 西岡遥奈理事長)
「改札の中に1度入ってからエレベーターがないことに気付く」

ベビーカーを押していた時、係員を呼ぶ手間がかかり、乗りたい電車に乗れないこともあったといいます。


(こどもトリニティネット 西岡遥奈理事長)
「私自身も独身の時には気が付かなかったが、子どもを産んで利用しなければならないという状況になったときに、こんな状況だったんだと気付いて不便だなと思った」

障害者を支援する団体は。

(岐阜市身体障害者福祉協会 山口嘉彦事務局長)
「障害者でも自分でできることは自分でやりたいという思いがある。エレベーターはあったが障害者が直接利用できない。非常に残念だった」


1日の利用者が約5万4000人にのぼる岐阜駅で、なぜエレベーターがなかったのでしょうか。

JR東海によりますと現在の岐阜駅ができたのは1997年。


その14年前の1983年に当時の国鉄と岐阜県が駅の工事に関する協定を結びました。

当時は、駅のバリアフリー化を進める法律もなく、改札の中はエスカレーターのみ設置するという方針に。

市民からはエレベーターを整備してほしいという要望がよせられましたが、工事も進んでいたため、大幅に計画を変えることはできなかったといいます。

その結果、改札の外に設置され、各ホームの端につながる業務用のエレベーターを駅員の同行のもと運用するという形になりました。


岐阜駅の完成から26年。

ようやく改札の中に一機、エレベーターが完成したのです。

エレベーターの整備などにかかる費用約18億円のうち、国と岐阜市が合わせて3分の2を負担するということです。

今回、岐阜駅にできたエレベーターは東海道線の下りホームのみですが、JR東海は年内に高山線と東海道線の上りホームのエレベーターも整備する予定です。


(岐阜市身体障害者福祉協会 山口嘉彦事務局長)
「ようやく1つ完成。障害者への思いやりが広がったということで非常にありがたい」
(こどもトリニティネット 西岡遥奈理事長)
「不便さもなく当たり前に自由に、どんな人でも駅が利用できるようになって良かった」

国は1日の利用者が3000人以上の駅をバリアフリー化の対象としています。東海3県にあるJRの駅で、この対象のとなる駅のうち、エレベーターがないなど段差が解消されていないのは、愛知県の弥富駅だけだということです。