岐阜県白川村の合掌造り集落にある唯一の温泉旅館「白川郷の湯」が、復旧工事を終え、28日、約1年3ヶ月ぶりに営業を再開し、テープカットが行われました。


去年2月、旅館は調理場や食堂があった2階部分が全焼し、創業者で当時86歳だった渡辺靜雄さんが亡くなりました。

(白川郷の湯 副支配人渡辺慎弥さん)(去年6月)
「本当にここで起こっているのかと、頭が真っ白」

旅館は、新型コロナ収束後を見据え、大規模な改修を終えたばかりでした。
孫の慎弥さんら家族は、一時廃業も考えましたが、長年、村の観光振興を牽引してきた静雄さんの思いを継ぎ、再スタートを決意。

がれきを撤去するボランティアや、クラウドファンディングの支援を得て、復旧作業を続けてきました。

(渡辺慎弥さん)
「地元の皆様や利用してくれたお客様らに、大変な心配とご迷惑をおかけし、今でも申し訳なく思っている。恩返しというわけではないが、心機一転頑張っていきたい」

28日午後3時から再開した旅館には、さっそく観光客が訪れ、世界遺産・白川郷唯一の天然温泉を満喫していました。

(客)
「すがすがしい。普段の喧噪を忘れて、気持ちよく入ることが出来る良いところだと思う」

(白川村 成原茂村長)
「世界遺産地域の中にある唯一の温泉施設。再建できたことを心より嬉しく思っている」

「白川郷の湯」は日帰りの利用も可能で、慎弥さんは「観光客だけでなく岐阜県民にも幅広く利用して欲しい。祖父の遺志と支援者の思いに応えていきたい」と話しています。