9日に投開票が行われた統一地方選挙、岐阜県議会議員選挙は定数2の多治見市選挙区が16年ぶりの選挙戦となり、無所属の判治康信(はんじ・やすのぶ)さんと自民党推薦の今井瑠々(いまい・るる)さんが初当選しました。

今井さんは一夜あけて、岐阜県多治見市の街頭に立ちました。

(今井瑠々氏)10日朝
「多治見の皆さんの声を引き続き届けられるように、政治家として成長していきたい」

2021年の衆院選で、全国最年少候補として、岐阜5区から出馬した今井瑠々さん。


自民党の重鎮、古屋圭司(ふるや・けいじ)議員と争い、およそ1万3000票差で敗れました。

そして、2023年1月7日に自民党多治見支部で開かれた緊急会合で、「電撃移籍」を発表します。

(自民党 古屋圭司議員)
大きな記念すべき一日になる。候補者は今井瑠々さん

立憲民主党から、自民党に”電撃移籍”。きのうの敵がきょうの友に…。
「だまされた」、「寝返った」、「仕方なし」などあちこちから驚きの声が飛び交いました。



(今井瑠々氏)2023年1月
「政党の枠にとらわれてしまうと、地域の皆さまから『瑠々ちゃんが頑張っているのはわかるけれど、なかなか応援しづらい。一緒に何かやりづらい』という声もあったのは事実。だからこそ私は、皆様のために仕事がしたいと思うようになりました。一人では政治は動かせず、チームで地域を動かしていく、政治を動かしていく、その中に自民党も含まれている。大きな基礎をなしていると実感した

関係者によりますと、選対本部長を務めるなど後ろ盾になっていた山下八洲夫(やました・やすお)元議員が、新幹線のグリーン券をだまし取って有罪判決を受けた事件や、国会議員がゼロになり、離党者も相次いでいた立憲民主党岐阜県連の党勢や体制にも、不安を抱えていたといいます。

そんな今井さんの不安を見透かすように、水面下で動き始めたのが自民党だったのです。

(自民党 古屋圭司議員 1月7日)
「自分の思い・政策を実現するためには、自民党に入らなければだめだと、今井さんからもそういう(移籍の)話はありました。私もそれは是非やるべきだと思っていました。ちょうど思いがぴたっと一致した。相当な圧力かかっていたと思う」

2022年の秋から、今井さんと接触を開始。ベテラン古屋議員と野田議員の2人が中心となり、自民党入りを調整。12月には、岐阜県議選への出馬が極秘のうちに決まっていたといいます。

(今井瑠々氏)2023年1月
「確かに私の手順が間違っていたり、皆様にご迷惑をおかけした点はあった。その覚悟で、これまで積み重ねたものを地元で生かしていくために必要な決断だった。政党が変わったとしても私は何も変わっていない。地域のためを思って、一番取り組みたい子育て支援・女性若者支援のために決断したことを真摯に伝えていく」

今井さんは、衆院選の出馬で培った知名度を生かして、若者や子育て支援の充実を訴え、支持を広げました。

一方、トップ当選した判治康信さんは、2021年の衆院選では今井さんを支援した1人で、立憲民主党や連合岐阜の全面的な支援を受けながら、無党派層にも浸透し、支持を広げました。

自民党は2議席の独占を狙いましたが、現職の後継指名を受けた後任候補が落選するという厳しい結果となりました。