ロシアによるウクライナ侵攻は、日本の私たちの「医療」にも影響を与えています。
こちらは35年以上の歴史がある名古屋市南区の長谷川歯科。
院長には「ある悩み」が…。
(長谷川歯科 長谷川茂人・院長)
「銀歯の材料は金銀パラジウム合金。1箱30グラム入っていて、数年前までは5~6万円で買えたのが、今は10万円前後になっています。かなりの高騰」

虫歯の治療に使われる「銀歯」。
その材料となるのが「パラジウム合金」という金属です。
このパラジウム、実はロシアが世界生産量の4割を占めていて、ウクライナ侵攻による供給不足で価格が高騰しているんです。
(長谷川歯科 長谷川茂人・院長)
「パラジウム合金の納入価格が、かなり高騰していて。それに見合う保険点数になる公定価格とのギャップがある逆ザヤ状態。銀歯を作れば作るほど赤字になる」
銀歯を使った医療機関が材料費として受け取る「公定価格」は厚生労働省が定めていますが、これが高騰を続ける「仕入れ価格」に追い付いていない状況で、差額は医療機関の側が負担せざるを得ません。
このため厚労省は急遽、5月1日から「公定価格」を引き上げることを決定しました。
銀歯は保険適用の治療で、公定価格の引き上げに伴って「保険点数」も上がるため、窓口負担が3割の患者の場合、奥歯1本を銀歯治療すると、負担はこれまでより数百円程度増える見通しです。
(長谷川歯科 長谷川茂人・院長)
「受診控えを危惧している。受診控えをすればするほど歯の状態は悪くなりますので。早期受診が基本」