旧道に残る「天辻隧道」かつての交通の要衝「大塔村阪本」の歴史とは

城戸から10キロほど南下した場所にある「天辻(てんつじ)峠」は交通の難所で、「国道168号の歴史を語る上で最も重要」と道マニア。
昭和34年に開通した「新天辻トンネル」の近くには旧道があり、大正11年竣工の「天辻隧道」が今も残っています。当時の最先端技術だったコンクリート製で、この隧道が造られたことにより、車で天辻峠を往来できるようになりました。
さらにその近くには、五新線の「天辻トンネル」も存在。鉄道が全線開通するまでの間、城戸まではバス専用道路として使用され、さらに大塔村(おおとうむら)阪本までの区間では工事が進められました。
そして昭和46年、長さ5キロの「天辻トンネル」が完成。トンネルの先に阪本駅を造る予定でしたが、未着手で鉄道計画自体が中止になりました。

難所と言われる天辻峠を越えるのには理由が。かつて木材や鉱山などの資材は、紀伊半島沿いを船で運搬していました。しかし、紀伊半島の複雑な海流や地形に対応するのが難しく、事故が多発。
この問題を解決するため、内陸部の川を通って阪本まで行き、陸路で天辻峠を越える方法が取られるように。これにより、安全に物資を運ぶことが可能になりました。
「林業の衰退、交通ルートの変化によって、船から鉄道や道路に変わり、道路が高規格化。輸送の方法が変われば、必要とされる要衝も移り変わっていく。道路を紐解くときに、道路だけ見ても分からないことがここには詰まっている」と道マニアは言います。
CBCテレビ「道との遭遇」2025年2月18日(火)午後11時56分放送より