そこには、家族の記録が残されているかもしれない。ここは愛知県公文書館。保管されているのは、旧日本陸軍の兵士に関する書類。兵籍簿に、軍歴証明、さらには戦没者資料。家族であれば閲覧可能で、太平洋戦争中、どんな階級で、何をしていたのか、そして、どこで戦死したのかが記されている。

岐阜県出身で、現在、栃木県に住む角田梨紗さん37歳。学生時代、戦争について研究していた角田さんは、戦後長い歳月がたち、もう証言が聞けなくなるという思いから祖父とその弟の軍での記録を取り寄せた。

「現役兵として中部第13部隊に入隊。同日安藤隊に編入。17日山海関通過。この「山海関」が最初見たとき分からなくて調べたら、当時の満州国と中国の国境の関所」

祖父の巌さんが昭和19年9月3日に入隊し、昭和21年5月12日に除隊になるまでの軍歴には、馴染みのない地名が。

(角田梨紗さん)
「山海関が出てその次に漢口。漢口から次の教育を受けた当陽。210時間、10日近く。列車も乗れたのかな、だけど徒歩が多かったと思う」

浮かび上がってくる、戦地での祖父の足跡。巌さんは後方支援として武器や食料を運ぶ「輜重兵(しちょうへい)」だった。