ソ連兵の目を盗み…深夜のロシア語レッスン
皆が寝静まった頃から、彼らのプライベートレッスンは始まった。ろうそくの微かな光のもと、通訳の男性から、一つ一つ言葉を教えてもらった。そして、それを書き記して覚えたのだ。しかし、あの劣悪な環境でノートなど存在するはずもなく、書き記す紙を手に入れるのに苦労した。ソ連兵に気づかれないよう、セメントの粉が入っていた紙袋をこっそり裂いてポケットに忍ばせ、その切れ端をノート代わりにした。鉛筆は持っていたため、そこに教え込まれたロシア語を書き記し、小さい声で復唱し、体に叩き込んでいった。

皆が寝静まった後、毎夜続いたシベリアでのプライベートレッスン。ろうそくの揺らぐ光のもと、ロシア語の単語を一つ一つ書き記し、耳をこらして通訳の発音を聞き、覚えていった。頭で覚えるというより、体に覚え込ませる感覚だったという。「ズドラーストヴィチェ(こんにちは)」という挨拶から、暮らしに必要な言葉を片っ端から暗記していった。














