10月、110番通報に新たなシステムが加わりました。警察が目をつけたのはスマホに搭載された身近な機能。どんな仕組みなのか記者が体験してきました。


愛知県内すべての110番通報を受信する名古屋市中区の通信指令室。

去年、県内の110番通報はおよそ58万件。55秒に1件という多さで、携帯やスマホからが7割以上を占めています。事件・事故に迅速に対応するため、10月から新たに導入されたのが…。



(記者)
「今から新しいシステムでの通報を体験してみます」

今回は歩行者が車にはねられ、犯人が車を置いて逃げたひき逃げを想定して110番通報をします。

(通信指令室 ※訓練用の回線を使用 )
「緊急通報110番です。事件ですか?事故ですか?」

(記者)
「ひき逃げです」

(訓練 通信指令室)
「歩行者はけがはどの程度ですか?」

まずは、通常通り電話で状況などを説明。すると…

(訓練 通信指令室)
「放置された車の状況と、現場の交通状況などを知りたいので、『映像通報システム』を利用して現場の状況を撮影いただきたいのですが、ご協力いただけますか」

警察から撮影の依頼が。新たなシステムでは現場の映像を通信指令室に送ることができるのです。

一体どんな仕組みなのでしょうか?

スマートフォンから通報すると、その通報者にショートメッセージでURLが届きます。


(訓練 通信指令室)
「アクセスコードに『5535』というコードを入れていただけますか」

そこにアクセスして、電話で伝えられたコードを入力。

確認事項に同意すると、撮影開始です。

映像はリアルタイムで通信指令室の大画面にも共有され、被害はどのくらいか、警察官を何人派遣すべきかなどの判断に役立てられます。

(訓練 通信指令室)
「付近の交通状況等も知りたいので、もう少し右側の方も撮影していただいてもいいですか」

撮り方は口頭で指示されるほか、スマホの画面に文字が表示されるため、撮影に迷うことはありません。すでにこのシステムは3件で使われたといいます。



(愛知県警通信指令課 杉山定義課長)
「映像があれば瞬時に判断できる。映像があるとなしでは大違い。重大な現在進行形の犯罪を、安全を確保した上で映像を撮ってもらえるなら、非常に助かる」


このシステムは半年間の試行期間を経て、来年4月から正式に運用が始まる予定です。