稲刈りが終わったこの時期、トラクターなどで、田んぼを耕す光景を見かけたこともあるのではないでしょうか。実は、秋に田んぼを耕すこの作業が、温室効果ガスの削減につながっているんです。その仕組みとは。
秋深まる中、島根県雲南市の田んぼでは…
記者 昌子秀
「雲南市の圃場では、田んぼに稲わらをすき込む『秋おこし』の作業が進められています」

稲刈り後の田んぼを耕す「秋耕」というこの作業。山陰では、「秋おこし」と呼ばれています。
JAしまね雲南地区本部営農部 久井和徳さん
「稲わらを腐熟させることによって、また来年の作付けの肥料成分として使うことができます」
この秋おこしの作業によって、田んぼからの温室効果ガス・メタンの発生を、5割削減できるといいます。
土の中の有機物は、田んぼに水を張った状態で分解されると、メタンガスを多く発生します。
秋おこしをすることで、有機物の分解が進み、春以降、水を張った時にメタンガスの発生を抑えることが出来るんです。

JAしまね雲南地区本部営農部 久井和徳さん
「なるべく早めの作付け前のところで、腐熟を進めた方がいいというところで、SDGsにもつながります」
しかし、稲刈りから冬までの短い期間に、田んぼを耕すのは、農家にとって大変な作業。
そんな農家の強い味方になる国産初の作業機が、松江市で開発されました。
担当者
「まさに人にも環境にもやさしい商品となっています」

松江市にある三菱マヒンドラ農機が開発した、作業機。その名も、ショートディスクハロー「KUSANAGI」です。
円盤型のディスクがトラクターの動力を使わずに回転し、稲わらや稲株、雑草のすき込みを高速で行います。
担当者
「従来のロータリーの4倍から5倍のスピードで耕うんできます」
一般的なロータリーと比べると、耕す速度は4倍。燃費は4分の1程度に抑えられるということです。

こうしたタイプの作業機は、これまで、大型トラクター向けの輸入製品がほとんどで、一般的な農家の要望に対応した中型トラクター向けの製品は、国産初になるといいます。
三菱マヒンドラ農機 齋藤徹 CEO取締役社長
「担い手不足、人手不足に農家が苦労する中で、この機械は従来の作業を格段に速く、効率よくできるということで、そういったところにも貢献できる商品だと思っています」
地元で開発され、農家の負担を減らす作業機。
温室効果ガスの削減につながる「秋おこし」の促進に一役買ってくれることが期待されます。